頭 石垣りん
秋の降らせた雨
ふと覚めた枕もとに秋が来ていた
昔の恋人に会ったような気分で
見つめてしまった
秋は少しの間居させてくれという
それは構わないがもうすぐ正月だ
秋はエルニーニョがどうのこうのと
オレにも心構えが必要だ
それは明日にして寝よう
ふと覚めた布団の側に秋が寝ていた
夢じゃなかったんだと見ていたら
秋は目覚めて仕事をしなくちゃという
まあまあ今日は日曜だビールでも飲もうや
一緒に朝から飲み出したのだが
やがて秋は落ち着かない様子で外に出た
そして雨を降らせやがった
なんだか匂いがしそうでオレは
この雨に濡れないようにしようと思った