国会
望月…自民党議員。地方自治の重要性を提起することが目的。
佐藤…自民党員であり総理大臣。
堂本…民主党党首。
朝霧…民主党議員。
議長…議長。
舞台中央に議長、その前に望月以外の議員が座っている。
が、佐藤はTシャツにスーツパンツ、堂本は短パンにスーツ、朝霧は上下スーツにパーティ用の帽子をかぶっている。議長は普通に上下スーツ。
望月が入ってくる。
望月 あーまずいまずい、遅刻した。ここだな(身だしなみを整える)。こっそり入れば大丈夫かな。
望月、ドアを開ける。
望月 (小声で)すいません遅刻……(服装に驚く)えええ!?
議長 君!遅刻だよ。早く席に着きなさい。
望月 えぇ!いやあの、部屋間違えました!(部屋を出て行く)
望月 えええ……。(部屋を確認する)いやここだよな、ていうか、ここしかないし。
望月、もう一度ドアを開ける。
議長 君!遅刻だよ。早く席に着きなさい。
望月 え、あ、はい。
議長 君!遅刻だよ。早く席に着きなさい。
望月 あ!はいはい、すぐに(佐藤の隣に座る)。
議長 早く席に着きなさい。
望月 もうつきましたわ!(バッグから書類を取り出しながら)あの、どこまで会議いきましたか?……ってえぇ!佐藤総理!
佐藤 ん?おお、君は確か……高橋君。
望月 望月です。
佐藤 望月君。
望月 こんにちは……(ふと気づいて)なんで総理の横に大臣がいないんですか!
佐藤 みんな……死んだ。
望月 死んだんですか!?それは一大事じゃないですか!
佐藤 大臣だけにな(笑)
望月 ……いやいやいやいや!何を笑っているんですか!
議長 君!
望月 あ……すみません。
議長 早く席に着きなさい。
望月 もう座ってます!
議長 えぇーそれでは、これから第678万5499回、通常国会を開始する。
望月 すごいやってるな!ていうか、俺が来るのを待っていてくれたのか?
議長 そういうわけじゃねえよ。
望月 じゃあなにやってたんだよ!
議長 発言は挙手を認められてからするように。
望月 ぐっ……。
議長 じゃなんか意見ある人ー。
望月 ホームルームか!
朝霧が挙手する。
議長 朝霧君。
朝霧 (立ち上がる)えぇ、私からは現在の海外情勢についての問題提起をさせていただきたいと存じます。えー、(小さめなパネルを出して説明を始める)現在、欧米諸国において(声量フェードアウト)
望月 ……すごい真面目なんだけど、とてもむかつくのは何故だろう。
佐藤 はっはっは、きみ、分からんのかね。
望月 佐藤総理……。彼のあの帽子は
佐藤 民主党議員だからむかつくのだよ!はっはっはっは!!!
望月 ちょっ!聞こえますって!これ続けていいのか?
朝霧 えー、このように、現在の欧米諸国とわが国の関係性は芳しくないと考えられます。これについてどのようにお考えですか総理。
朝霧が座る。
佐藤 ……。
望月 ……。
佐藤 ……。
望月 総理。
佐藤 なんだね望月君。
望月 いや、質問に回答しなければ。
佐藤 めんど(笑)
望月 いやいやいや!この国会はテレビでも放送されているんですよ!
佐藤、すっと立ち上がり、ないネクタイをきつく締め(るような動きをし)、ない襟元を正
す(動きをする)。
望月 いやもう遅いですよ!
佐藤 お答えいたします。我が国において……(声量フェードアウト)
望月 はぁー……どうなってんだよ。
堂本、ジッと望月を見つめている。瞬きをするのも忘れるほどジッと見つめる。
望月、最初は気づかないがなんとなく視線を感じ、堂本を見る。
望月 うわ……!めっちゃ見られてる!
堂本、ひたすら見る。
望月 え、どうしようどうしよう。あの人確か、民主党の幹事長かなんかだったよな。
え、俺なんかしちゃったかな。
佐藤 えー、よって日本と欧米諸国の関係は、現在最悪である、と結論付けることができます。
望月 あんたは何言ってるんだ!
佐藤 だって事実じゃん。
望月 「だって」って!
議長 静粛に!(ピコピコハンマーで台をたたく)
望月 やかましいわ!
堂本が挙手。
議長 堂本民主党幹事長。
堂本 えぇー、私からは一つ二つ、三つ四つ五つ、場合によっては六つ七つ質問させていただきます。
望月 多いわ!
堂本 一つ目。初歩的な質問ではありますが、なぜ、総理の横に大臣ではなく、地元一の進学校に入学して学年一位をとったといって調子に乗り、東大を目指せるのではないかと思い勉強したものの全くわからず、期待した周りの人間に失望され地元を追い出され、なんとか国立大学に入学したものの堕落の日々をとげ、親のコネで国会議員になっちゃいました(笑)という顔面をしたしがない議員が座っているのですか。
望月 よくかまずに言えたなあんた!まあ実際そうだけど……。
佐藤 そうなの!?
望月 わっ!びっくりした!
堂本 まずこの質問にお答えください、総理。
佐藤挙手。
議長 佐藤総理大臣。
佐藤 お答えします。それは、大変申し上げにくいのですが。
望月 そういえばさっき、みんな死んだとか言ってたけど冗談だよな……。
佐藤 みんな……死んだ。
望月 死んだんかい!
堂本 ……そうですか(ハンカチで涙を拭く)。
望月 追求しないんですか!
朝霧 うっ……うぅ……(泣く)。
望月 お前もか!
議長 私が殺したのだよ。
望月 ……え?
議長 私が!殺したのだよ!
望月 え?え、ちょ!
堂本 二つ目。
議長 えぇ!?
望月 えええええ!?
堂本 現在日本には、不平等条約が欧米諸国によって結ばれています。治外法権、そして、関税自主権がないことです。
望月 100年前だよ!
堂本 どうお考えですか総理。
佐藤、ぐっすり寝ている。
望月 もう疲れたよ……。
堂本 (やけに納得した顔でうなずき)以上です(座る)
望月 ほんとなんなんだ。
議長 他、何かいいたいことある人ー。
望月 あ!そうだ、俺も言わなきゃ!(挙手)
議長 では閉会します。解散!
望月 えええ!!
堂本、朝霧、議長が席を立ち、ぞろぞろ帰ってしまう。
佐藤 ん、ああ、終わったの。
望月 総理……これはいったいどういうことですか。
佐藤 んー、いつもこんな感じじゃない?てか君誰?
望月 望月です。
佐藤 お疲れ(席を立ち、帰る。途中で立ち止まり)あ、君。
望月 なんでしょうか。
佐藤 君、なんかスーツとか着ちゃってかっこつけてるけど(笑)、次からこういう私服
でいいから。じゃ(帰る)。
望月 ……私服なのか。
完