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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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それを引いたらおしまいよォ

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惑星研究家たちが気付いたその惑星は、
どんどん地球に近づいてきていた。

「みなさん安心してください。
 あの惑星の軌道とこの地球は並行しています。
 ですから衝突の心配はありません」

学者のいうように、その惑星は近づきこそすれ
衝突一歩手前でぴたりと止まった。

すれすれで止まったので、
その惑星は肉眼でも特徴が見えるほどに。

緑が多く、水が流れる珍しい惑星。
ただ、それは……。

「あれ、地球じゃね?」

第二の地球だった。



第二の地球が現れたことで、
世界の偉い人たちはその対応を決めることにした。

「第二の地球では、この地球では絶滅した生物も植物も
 まだ自然な状態で息づいている。
 この貴重な環境を大事に守っていこうじゃないか」

「「「 賛成! 」」」

第二の地球に残る手つかずの自然を守っていくことに
コンクリートで覆われた大地に立つ彼らは反対なんてしなかった。

第二の地球が完全な自然保護区になると、
地球から移民してくる人も徐々に増えてきた。

「ロハスな暮らしがしてみたいの」
「やはり人間は自然に囲まれてなくちゃね」
「電気と機械だけの地球なんてまっぴらだわ」

一方で、地球に残る人もやっぱりいるわけで。

「あんな動物しかいない場所になんで行きたがるんだ」
「これだけ便利な暮らしを捨てるなんて!」
「現代人が自然に還ったって暮らせるものか」

第二の地球の人たちと、
第一の地球の人たちの溝は徐々に大きくなっていった。


そんなある日、第二の地球で事件が起きた。

「な、なんだこの大量の粗大ごみは!!」

自然豊かな第二の地球に存在しないはずのゴミが出てきた。
怒りの矛先はすぐに第一の地球へと向けられる。

「おい! お前らだろう!
 いったいどういうつもりなんだ!
 こっちはお前たちの地球じゃないんだぞ!!」

「はぁ? 本当はお前らが出したんじゃないのか?」

「なんだって!? そんなわけあるか!」

第一の地球代表者は、第二の地球の衛星写真を鼻先に突きつける。

そこには自然生い茂る中でスマホを操作している
なんともアンバランスな画だった。

「こ、これは……」

「知っているぞ。本当は俺たちの地球から
 電化製品なんかをこっそり持ち込んでいるんだろう?
 ゴミもお前らが出して、こっちに責任転嫁したいだけなんじゃないのか」

「そ、そんなわけあるかっ!」

「だったら、ごみの主が第一の地球だっていう
 証拠のひとつでも持って来いよ!!」

ゴミの1件でぐらぐらと不安定になっていた
第一と第二の地球の関係はガラガラと崩れた。

「地球が一つだったときは、
 こんなふうにいがみ合うこともなかったのに……」

「だったらいっそ、どちらか片方にまとめればいいんだ!」

国民たちの「天下統一」論に後押しされて、
それぞれの地球はそれぞれの地球で戦闘準備を整えた。

「あんな原住民族、現代兵器でいちころだぜ!」

「あんなもやし民族、野生の力で瞬殺だ!」

第一の地球では優れた現代兵器を開発し、
第二の地球では野生動物を完璧に訓練していった。

まさに、戦争待ったなしの状態になったころ。
惑星研究家たちは気付いてしまった。

「まずい……このままじゃ地球同士ぶつかるぞ!!」

第二の地球に大量の移民が流れたせいで、
地球の軌道がわずかにズレてしまい、
このままいけばゆっくりじわじわ衝突することがわかった。

もう戦争どころではない。

「みんな! 大量の野生動物がやってくるぞ!」
「みんな! 環境汚染が侵食してくるぞ!」

それぞれの地球は慌てて衝突に備えた。


やがて、二つあった地球はゴリゴリと
お互いの体をこすり合わせながら衝突しひとつの地球になった。

大量の野生動物がながれこんで、
環境汚染もどんどんまじりあいながら流れてきた。

けれど、さして問題にはならなかった。

「野生動物を誘導するんだ! ルーールルルル」

第二の地球出身者は野生動物を見事に誘導し、
人々に危害を加えないようにした。

「環境を守るんだ! 絶対に入れるんじゃないぞ!」

第一の地球出身者は、得意の科学技術で
環境汚染が進まないようにしていた。


いまや、∞のようにくっついてできた一つの地球では
自然と科学の完璧な両立ができていた。

「これからは、この一つの地球を大事にしていこう」

「ああもちろんだ」

それぞれの地球代表者は固く握手を交わした。




「でも、一応国境はつけておこうか」

地球間に境界線が引かれると、
ふたたび世界は戦争状態へとぶち込まれた。

「あっちの国の奴らは科学に頼り切ったバカだ!」

「あっちの国の奴らは野蛮なサルだ!!」