時間牢
それは、タイムマシンで訪れた先で歴史を変えるような罪を犯した者が収監される場所の事だ。
そもそもタイムマシンと称する機械で時間旅行をする際は、劇画や空想映画で描かれているような行動は時間犯罪と見做されます。
当然ながら過去や未来で自分自身に会って人生を変化させるよう促す行為も時間犯罪として扱われる。
列車や飛行機の車窓から景色を眺める程度の事しか許されておらず、時の移り変わりを見て楽しむための乗り物であって外へ出ることは許されていない。
実際のタイムマシンは堅苦しく、旅行先での行動をかなり制限された・・・別な表現をすればサファリパークで車内からライオンやトラなどの猛獣を眺めるような乗り物でそのルールを無視して利己的な行動を取った者に課される懲罰が時間牢なのだ。
そんな牢獄でありながら・・・
部屋は独居房。食事は時々部屋に届けられ、役務の義務は無く外出は自由。
そんな風に聞くと、そこに収監されても苦痛がないと思うかも知れません・・・
しかし最大の苦痛は、そこには時間という概念が存在しない事。
太陽はいつも南中にあって動く事はなく夜は決して訪れない。気温の変動も殆ど無く、何か変化があるかと言えば天候は概ね晴れの中、稀に雨が降るのでそれがささやかな楽しみだという程度。時が流れて行く事を直接実感する事が出来ない場所。
刑期は地球上の時間で最短3ヶ月であるにも関わらず、現世に生還した囚人は一人もいないそうだ。
時間牢とはいったいどのようなところなのだろう??
この話はタイムマシンを偶然に発明してしまった男の物語。
この男は永遠の命を手に入れたのだ。