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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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眠り姫、仕事しろ

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今や眠り姫は普通OLとして働いていた。

「また寝坊したな!
 これで何回目だ!!」

「すみませ……ふああ……あふ」

「ちゃんと話をきけぃ!!」

上司の罵倒は身に染みて聞いているし、
眠り姫自身もこの状況をよくないとは認識している。

「おはよ、眠り姫、今日も寝坊したの?」

「うん。起きる気満々だったんだけどね。
 何十年も眠っていたから、
 体には眠っている時の方が自然になっちゃって……」

「でも、明日はちゃんと来ないと
 そろそろ上司もブチ切れるよ」

「そうだよねぇ」

眠り姫はその日の帰りに、
目覚まし時計を何個も買って帰った。

それらすべてにアラームをセットして眠りについた。
もちろん、寝坊しないよう早い時間に。





「また寝坊したな!!」

そして、あっさり寝坊した。

「朝起きると目覚ましが止まっていて……。
 起きようとは思っていたんです……ふわぁ」

「会社への帰属意識が低いからそうなるんだ!
 責任感を持てば寝坊なんてしない!!」

「はぁ……」

眠り姫は今朝もこっぴどく怒られた。

「おはよ、眠り姫。今日も起きれなかったの?」

「眠りながらアラーム止めていたんだと思う。
 王子様のキスで目覚めるまでは眠っていたから
 寝ながらでも食事とかはとれるんだよね……」

「今度こそちゃんと来ないとやばいよ?」

「……よし、決めたわ!!」

眠り姫は絶対に遅刻しない方法を思いついた。
そして、全員が帰社した会社にひとり戻って布団を敷いた。

「ふふふ、会社で眠れば寝坊しないわ。
 それではおやすZzz...」





眠り姫が目を覚ますと、太陽が昇りきっていなかった。

「ふわぁ……ああ、ちょっと早く起きすぎちゃった。
 まだ夜明け前なのかしら」

「日が沈んでるんだバカ!!」

上司が午後の時刻を示した時計を鼻先につきつける。

「あ……お、おはようござい……ます」

「おそようございます、眠り姫さん。
 君はみんなが仕事している中寝息を立てていたんだ。
 いつ起きるかなと思っていたが……」

午前をすぎて、昼も過ぎて、もう夕方。

「お前のその仕事態度にはもう我慢できん。
 今度、寝坊してきたやつは私の権限で首にする!!」

「そ、そんな! 私だって努力しているんです!」

「だったら、努力が足りないんじゃああ!!」

説教が終わった後、眠り姫は思いついた。

「そうだわ! これなら大丈夫よ!」

今日もお茶出しの仕事を終えた。

その夜はいつもセットしていた目覚ましすべてを止めて、
大好きなテレビを見ながら夜更かしをして就寝。




朝起きると、カーテンから入る光で寝坊を悟った。
出社すると同僚が血相を変えてやってきた。

「眠り姫! また寝坊したの!?
 もう後がないのに!」

「大丈夫よ、昨日はしっかり眠っているはずだから」

「え?」

眠り姫はまだ空いたままの上司の席を指さした。

「昨日、たくさん睡眠薬を飲ませたから
 今日はたぶん寝坊してくると思う」

誰よりも遅く寝坊出社してきた上司は、
約束通り上司権限で自分自身をクビにした。
作品名:眠り姫、仕事しろ 作家名:かなりえずき