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聖夜の女神様

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プロローグ


 私が野球部のマネージャーをやめてから、4ヶ月がたった。

 時間が過ぎるのはあっという間で、今まで夏だと思っていたのに、もう冬になってしまった。
 学校は赤や緑、金や銀で飾り付けられて、クリスマスの到来を待ちわびている。
 だけど勉強漬けの私にとってクリスマスの訪れなんてどうだっていいこと。
 私は3ヵ月後の特進クラスへの編入試験に向けて、頑張らなければならない。それだけじゃなく、来年のT大合格を目指して、今から学力を充実させておかなければならないのだ。
 私に余裕なんて、ない。

 それにしてもこんな生活、なるべくなら送りたいものではなかった。
 朝早く起きて勉強。学校に行って勉強。休み時間の暇を見つけては勉強。放課後は図書室で勉強。 塾に行っててまた勉強。
 さすがの私も、そろそろ気が狂ってしまいそう。
 野球部のマネージャーをやってたころの自分がほんとに懐かしい。
 できることなら、あのころに戻りたい。

 今の現実から逃げたいからこんなことを思ってしまうのかもしれないけど、私が野球部のマネージャーをやめてから、『彼』とはほとんど話していない。私は『彼』のことが好きだったから野球部のマネージャーを務めていた。
 『彼』とはその気になれば話をすることができないわけではないが、私はまだ、『彼』と話せない。
 未だに、あのときのことが忘れられなくて、
 挨拶だってままならない。

 でも、私は『彼』のことが、好き。
 だけど、言いようのない不安がまとわりつく。

 周防晴斗《スオウ ハルト》。野球部主将で生徒会長――まるで完璧超人のあなた。
 貴方は私にとってのヒーローで、私は、今でもあなたのことが好きなのです。

作品名:聖夜の女神様 作家名:藍澤 昴