どんな想いで建物を建てたんだろう…。
そんな私の頭の中にある光景が映し出された。
初めはモヤモヤがかかっていた。
何だろうかと探るようによくよく見ていたら、モヤモヤが薄れて行ってビルがたくさん立っている都会だと分かった。
それがどうしたんだろうかと思いながら、その光景を見ていると上(神様)が話し掛けて来た。
『たくさんビルが立っていますね。こんなに高いビルを建てられるようになったのも、努力をした人の結果かもしれませんね。』
そんな上の言葉を聞いて私は考えた。
まぁ~、確かに、人の努力の結果なんだろうけど…、それと地震とどういう関係があるんだろうか…。
と接点となる所を探していた。
すると上は、
『もし、それが私の手のひらの上に立っていたらどう思いますか。』
と言った。
どういう事だ?!と思っていたら、さっき頭の中に映されたビル群の下に重なって、人の手のひらが見えた。
それをじっと見ていたら、
『もし、この建物が欲ではなく、努力や人の為であるならば、私は素晴らしいと思います。しかしどうしてでしょうか、アイタタタ…と私は手をどかしてしまいました。地位や名誉という欲には重さがあるのでしょうか。』
と上は淡々と答えた。
私は大きく肯き、面白い事を言うもんだなぁ~と関心した。
手が痛かったら、誰だってパッと手をどかしてしまうわぁ~と私は納得した。
納得した私に上は、
『はい、私もそうだと思いますよ。…あらら、どうしてでしょうか…、私の手のひらが、痛い…。あいちゃん(仮名;私)、ここ、ここ、ここが私、痛かった~。…あらっ、神様も痛みを感じるようですね。』
と上はそう言いながら、手のひらを私に見せた。
そして上は続けて、
『人は、何の為に、建物を、建てているのでしょうかね。…別に、私の手のひらが、痛くなろうが、それはどうでも良いことなのです。私の手のひらが、痛くならないようにする事が、目的ではありませんよ。地位や名誉が欲しい方は、どうぞ望んで手に入れてください。その時は、また別の部分が痛くなるの、かもしれませんがね。』
と変わらず淡々と言った。
上とのちょっとした会話が勉強になる。
だから、上との会話って止められないのかもしれない…。
あれっ?!もしかしてっ?!…これも欲だったりして…。
作品名:どんな想いで建物を建てたんだろう…。 作家名:きんぎょ日和