新月 森
何も見えない夜
色が欲しい
周囲には人の気配
かすかな輪郭を頼りに
前へ進む
色彩に飢え始めた
倒れそうになり
足を引きずり
さらなる闇の中に入り込む
眼に原色の何かが見え始め
それが幻覚であるとしばらくして気付く
荷は重く
湿った道は足を濡らす
青 赤 夢が現実を侵し
麻痺しかかった足が引き戻す
目の前は
他だ暗い
変わらずにある
漆黒が
手が
見え始めた
森の色
緑が徐々に眼が捕らえる
周囲の人の存在が
明白になり
世界はまた色を持ち始める
緑茶黒の斑な迷彩服を認識し
光が強くなる度に
自分が兵隊であると思い起こす
目的地は近い
戦闘が始まる
右手は自然と銃を握る