水月
時の流れが変わりゆく
もう戻れぬやもと
弱音は風にさらわれて
柔に寝転びほうけていた時分
空気と踊り地球と交り
蝶と蛾の違いなど見据え
微に入り細に入り
物事の内面に腰をおろし寝床を設け
将来に対する一抹の不安などを抱き
夜明けの靄に瞼が落ちて
気付けばとうに陽は落ちて
眩いまでの内なる幻実さがしゆく
旅人よろしく自由をうたい
果てなきものと世迷う憐憫
異なる朝に迎えられ
戸惑う夜が幾日ゆけば
変わらぬものが違わぬものが
葉になり実になり花となろう
過ぎ行く季節の只中に
残りもしない足跡の
しがなき道を遡り
戻らぬ失せ物 朽葉となりて
然もありなんとて無情を嘆く
水面にうつる届かぬ夢を
身空に重ねて世を嗤う
ひとつになれず鏡は割れて
最も近くて最も遠い
極月淀む我がこゝろ