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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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木枯らし

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木枯らしの吹く寒い日が好きと
いつのころからかあなたは言った

あなたが甲状腺の癌で手術をした時
あなたの首には
大きな傷跡が残った

外出が嫌いになったあなた
ぼくはすぐに気かつかなかった
なぜなのかと

命と引き換えた傷なのに
あなたは手術に耐えたのに
誇りにしていい傷なのに

ぼくのあなたへの愛は変わらないのに
あなたは外に出なくなった

首にネッカチーフを巻き
ハイネックのセーターで
マフラーを巻いて

木枯らしの吹く寒い日は
あなたもさっそうと歩き始めた
昔のままのあなただよと僕は言う

あなたはいくつになっても
美しいままでいたい女なのですね
作品名:木枯らし 作家名:吉葉ひろし