木枯らし
いつのころからかあなたは言った
あなたが甲状腺の癌で手術をした時
あなたの首には
大きな傷跡が残った
外出が嫌いになったあなた
ぼくはすぐに気かつかなかった
なぜなのかと
命と引き換えた傷なのに
あなたは手術に耐えたのに
誇りにしていい傷なのに
ぼくのあなたへの愛は変わらないのに
あなたは外に出なくなった
首にネッカチーフを巻き
ハイネックのセーターで
マフラーを巻いて
木枯らしの吹く寒い日は
あなたもさっそうと歩き始めた
昔のままのあなただよと僕は言う
あなたはいくつになっても
美しいままでいたい女なのですね