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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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超・男性差別社会

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映画館に行くと、料金表を見て驚いた。

女性 1,000
男 100,000

「い、一万円!?」

しかも、なぜか男性ではなく「男」。
売り子にこの値段差を問い詰めてみると

「当然じゃない。男なんだから」

「いやいやいや! なんで男だと1万円!?」

「男は働くためだけの生き物なんだから。
 金なんて女より稼ぎやすいから当たり前でしょ」

「でも……」

「はぁ、これだから男は言い訳ばかりする。
 本当に知能の低い種族だわ」

それでも言い合っていると、
周りの客がひそひそ言い始めたので映画館を離れた。

「ほら、また男がなにか言っているわ」
「やあね、まだ昔の男尊女卑を引きずっているのよ」
「男の頭は切り替えが遅いからね」

しょうがないのでトイレに行くことにするも、
どこに行っても女性用しかない。

「あの、男性用のトイレがないんですが」

「男のトイレなんてすぐ終わるでしょう?
 だったらたくさん設置する必要なんてないじゃない」

「ええ!?」

やっとトイレを見つけたと思ったら有料。
その理由は考え付く。

用を足し終わるとすっきりした頭に使命感が生まれた。


―― やっぱりこんなのは間違っている。


それから、男性の地位向上に向けて活動をはじめた。


まずは駅前で必死に男性の地位向上を訴えた。

「男性の地位向上を! 差別をなくしましょー!」

「大声ではしたないわ」
「男は野蛮ね」
「これだから男は……」

めちゃくちゃ逆効果だった。
男性の地位向上どころからお互いの溝を深めるばかり。

俺の活動は男にこそ支持されたものの、
女性にはことごとく嫌われてついに国会でも……

「なんか最近男どもがうるさいので、
 男税を導入しましょう!」

女だらけの国会で恐ろしい法案が決まった。
男であれば生後1秒から税金の徴収対象となる。

「だって男なんだから、当然じゃない」

首相のとんでもない発言もあっさり許された。
しかし、ついに影を潜めていた男が立ち上がった。

「女どもは自分たちより上の存在を認めたくないんだ!」
「すぐに差別する女は下等だ!」
「男の方が優れているに決まってる!!」

「あれ、あれぇ!?」

なんか思っていた方向じゃないまま男たちは団結した。
なお一層女は男のことを嫌い、
そのことで男はさらに女のことを遠ざけた。

「女どもは俺たちの反乱が怖いんだ!」
「力で解決するしかない男は野蛮だわ!」

ああ……ああ、いったいどうすれば……。

もとはといえば、俺が地位向上なんかを訴えたためだ。
もう自力では解決できないことを悟った俺は、
神に救いを求めることにした。

「おお!! 神よ! 全知全能なる神よ!
 どうかこの醜い争いをなくしてください!」

すると、神の大いなる力が世界全土に及んだ。





「やだ~このタンクトップ可愛いわぁ~~♪」

その後、全員の性別が等しくおねぇに統一されて
世界は平和になった。
作品名:超・男性差別社会 作家名:かなりえずき