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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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フレネミー探偵は間違えない!

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「みんな今日はよく集まってくれた。
 ここで行われるのはある種の魔女裁判だ」

フレネミー探偵が口を開くと、
周りの友達たちはひそひそと話し始める。

「今から、この中にいるフレネミーを探す」


フレネミー。

フレンド(友達)でありエネミー(敵)である。
笑顔で親しげに話すその裏で、
友達の悪口やひどいことをする人間。

早い段階で見つけておかなければ、
のちのちに取り返しのつかないことになる。

「みんな、携帯を出してくれ」

探偵の指示に全員が携帯電話を出した。
受け取った探偵は各々のデータを確認する。

「現代のコミュニケーションのほとんどは文字だ。
 実際に話すことは少ないから、
 どこかに悪口をかけばすぐに見つけることができる」

データ削除されたものも含めて履歴を洗い出す。
けれど、誰一人として探偵の悪口を書いている人はいなかった。


「……なるほどな。
 どうやらフレネミーは相当に慎重らしい。
 足がつく場所に証拠は残さない、というわけか」

しかし、こんな程度で「はいOK」となれば探偵ではない。
ここから一歩踏み込んで調査するからこそなのだ。

今度は全員の連絡先をたぐって、
友達の友達にかたっぱしから連絡をとっていく。

「もしもし? 探偵ってムカつくよね」

『え? なに?』

ブチッ。ツーツー……。

「もしもし、探偵ってウザくない?」

『あ、そう?』

ブチッ。ツーツー……。


――問題なし。


潜んでいるフレネミーが誰かに陰口を漏らしていたとすれば、
俺の悪口を言った瞬間、すぐに合わせてくるだろう。

けれど、誰一人として悪口に乗る人はいなかった。

「もういいだろ。ここにフレネミーなんていない。
 というか、そもそも……」

「いやまだだ!!」

あきれ気味の友達たちの言葉を探偵がさえぎった。


探偵は恐ろしいことに気が付いたのだ。
この異常な状況に。

「……これはおかしい。
 誰も悪口を言わないどころか、褒めることもしていない」

それこそが異常。
好意的、否定的であれなんらかの反応はあるはずだ。
だが、連絡先の誰に聞いても知らない風だった。


それはつまり……。


「……わかったぞ。この恐るべきフレネミーに」

探偵は全員を鋭くにらみつけた。


「フレネミーはお前たち全員だったんだ!
 足がつかないように
 グループ全員で監視して陰口言っていたんだな!」

ひとりではつい証拠を残してしまうところを、
全員が組織的に動けば個人に漏れることもない。

完璧にして究極に訓練されたフレネミー。




すると、全員が同じことを言った。

「それ以前に、お前、友達じゃないから」