意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編
と或る登場人物の苦悩
「我々は非常に窮屈な存在だ。何故って、想像力の乏しい人間の想像力によって生み出されるのだから。我々、物語の登場人物はきわめて不完全な存在だ。我々は数多くの欠陥を抱えている。君に理解できるかね? 極端なことを言えば、我々は排泄することすらままならないのだ。物語のなかで登場人物が生理的衝動を訴えることがあるか? ないだろう? そんな些細な部分は描写すらされない。我々は必要な時だけ呼ばれ、不要な時はポイっと捨てられる、いわば物語の奴隷だ。」
作品名:意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編 作家名:篠谷未義