意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編
孤独飢餓論
「私」という人物を仮設する。
「私」という人物は「私」の知らない場所で、
「私」について語られることを恐れている。
何故なら「私が思う私」と「皆が思う私」が、
同一ではないと「私」は考えているからだ。
「私」は「皆」に「私が思う私」を暴かれるのを恐れ、
自らを騙して「皆が思う私」を演じる。
次第に「私」は希薄になっていき、
「皆が思う私」が「私が思う私」を埋め尽していく。
そして「私」は「私」から永久に喪われてしまう。
そこで「私」という人物はやっと気が付くのだ。
『私は孤独に飢えている』
作品名:意味を持たない言葉たちを繋ぎ止めるための掌編 作家名:篠谷未義