Q. どちらが優れていますか?
資格検定がはじまった。
この資格をなんとか合格しなければ、就職できない。
Q.次のどちらが優れているか?
1、ホームレス
2、サラリーマン
「サラリーマン、と」
サラリーマンをハイに、ホームレスをロ―にする。
人間は仕事をしていないと、低く見られる。
Q.次のどれが優れているか?
1、漫画
2、アニメ
3、映画
「映画だな」
事前にしっかり勉強してきてよかった。
人間は、漫画やアニメが趣味という人よりも
映画鑑賞が趣味の人の方が良く思われる。
だから、ここは映画がハイで、それ以外はロー。
順調に問題を解き進めていくと、最後の問題にたどり着いた。
Q.この問題を見たら顔を上げてください。
「えっ?」
顔を上げると、二人の男がいつの間にか来ていた。
一心不乱にテストを取り組んでいたので気が付かなかった。
「最後に、合格・不合格を決める試験です。
この二人の男のハイ&ローを決めてください。
2週間で」
「2週間!?」
こうして、合格を賭け実地試験がはじまった。
二人の男は職業も同じで、趣味も同じ。
しいて違いを上げるなら、男Aはイケメンで男Bは不細工。
「2週間も観察するってことは、
きっと彼らの行動からハイ&ローを決めろってことなんだろうな」
俺は必死に二人の行動を観察し、
わずかな違いがあればすぐに記録していった。
2週間後。
「では、ハイ&ローを教えてください」
再び試験が行われると、俺は答えを出した。
2週間の蓄積が答えに確かな手ごたえを感じさせる。
「男Bがハイで、男Aがローです」
「その理由は?」
俺は2週間記録し続けた結果を見せる。
「男Bは真面目で優しい人間です。
この2週間で困っている人を24人助けて、
募金活動に4回協力し、町のゴミ回収にも参加しました」
男Bはとにかく思いやりにあふれていて、
誰にでも平等で優しい部分をこの2週間でイヤというほど見てきた。
「男Aは逆に自分勝手な所があります。
常に自分の都合で人を振り回していました。
強引におごってもらったり、気分でサボったり……」
最後に俺は自信をもって告げた。
「なので、男Bがハイ。男Aがローです!」
答えを聞いた試験官はにこりと笑った。
「はい、閻魔大王試験不合格です」
「えええええええ!?」
結果はまさかの即不合格。
この試験をパスして閻魔大王になれるはずだったのに!
「なんでですか!?
どう考えても男Bがハイでしょう!?
データが足りないんですか!? だったら……」
「あなたは閻魔大王の仕事をご存知ですか?」
「当たり前でしょう。
天国行き、地獄行きを決める大事な仕事です。
だからこそ、人を見る目がここで問われているんでしょう」
どう考えても男Bの方が優れている。
ハイ、つまり上界の天国行きは男Bで決まりのはずだ。
「やっぱり納得できません!
見てくれはともかく、男Bはハイで間違いありません!」
一歩も譲らない俺に試験官は告げた。
「不細工がたくさんいる場所を、あなたは天国と言えるんですか?」
作品名:Q. どちらが優れていますか? 作家名:かなりえずき