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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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Q. どちらが優れていますか?

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「では、試験を始めます」

資格検定がはじまった。
この資格をなんとか合格しなければ、就職できない。


Q.次のどちらが優れているか?
1、ホームレス
2、サラリーマン


「サラリーマン、と」

サラリーマンをハイに、ホームレスをロ―にする。
人間は仕事をしていないと、低く見られる。


Q.次のどれが優れているか?
1、漫画
2、アニメ
3、映画


「映画だな」

事前にしっかり勉強してきてよかった。

人間は、漫画やアニメが趣味という人よりも
映画鑑賞が趣味の人の方が良く思われる。

だから、ここは映画がハイで、それ以外はロー。

順調に問題を解き進めていくと、最後の問題にたどり着いた。



Q.この問題を見たら顔を上げてください。



「えっ?」

顔を上げると、二人の男がいつの間にか来ていた。
一心不乱にテストを取り組んでいたので気が付かなかった。

「最後に、合格・不合格を決める試験です。
 この二人の男のハイ&ローを決めてください。
 2週間で」

「2週間!?」

こうして、合格を賭け実地試験がはじまった。


二人の男は職業も同じで、趣味も同じ。
しいて違いを上げるなら、男Aはイケメンで男Bは不細工。

「2週間も観察するってことは、
 きっと彼らの行動からハイ&ローを決めろってことなんだろうな」

俺は必死に二人の行動を観察し、
わずかな違いがあればすぐに記録していった。


2週間後。


「では、ハイ&ローを教えてください」

再び試験が行われると、俺は答えを出した。
2週間の蓄積が答えに確かな手ごたえを感じさせる。

「男Bがハイで、男Aがローです」

「その理由は?」

俺は2週間記録し続けた結果を見せる。

「男Bは真面目で優しい人間です。
 この2週間で困っている人を24人助けて、
 募金活動に4回協力し、町のゴミ回収にも参加しました」

男Bはとにかく思いやりにあふれていて、
誰にでも平等で優しい部分をこの2週間でイヤというほど見てきた。

「男Aは逆に自分勝手な所があります。
 常に自分の都合で人を振り回していました。
 強引におごってもらったり、気分でサボったり……」

最後に俺は自信をもって告げた。

「なので、男Bがハイ。男Aがローです!」

答えを聞いた試験官はにこりと笑った。




「はい、閻魔大王試験不合格です」

「えええええええ!?」

結果はまさかの即不合格。

この試験をパスして閻魔大王になれるはずだったのに!

「なんでですか!?
 どう考えても男Bがハイでしょう!?
 データが足りないんですか!? だったら……」

「あなたは閻魔大王の仕事をご存知ですか?」

「当たり前でしょう。
 天国行き、地獄行きを決める大事な仕事です。
 だからこそ、人を見る目がここで問われているんでしょう」

どう考えても男Bの方が優れている。
ハイ、つまり上界の天国行きは男Bで決まりのはずだ。

「やっぱり納得できません!
 見てくれはともかく、男Bはハイで間違いありません!」

一歩も譲らない俺に試験官は告げた。



「不細工がたくさんいる場所を、あなたは天国と言えるんですか?」