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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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努力でも才能でもない!

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「努力! 努力! 努力!」

日曜日、努力教の信者たちは
教会に集まってミサをしていた。

教祖が壇上に現れると、全員が努力コールを送る。

「みなさん! 努力していますか!」

「「「 してまーす! 」」」

「努力すればどんなことも達成できる!
 努力すれば必ず結果が返ってきます!
 諦めないで努力し続けてください!」

「「「 努力ぅーー!! 」」」

しかし、努力教の教祖はふと気が付いた。

「……なんか、信者減ってません?
 私の努力が足りないからでしょうか?」

「恐れながら教祖様。
 信者の中で改宗者が増えているようです。
 それもこれも、私どもの努力不足です」

「改宗?」

すると、教会のドアが開けられた。
立っていたのは改宗した信者。

「お、お前は……どうして改宗したんだ!」

「努力? ハッ、笑わせる。一生やってろ。
 どんなに努力しても才能があるんだよ!」

改宗者がくるりと背を見せると、『才能教』の文字が。
その後ろから、才能教の教祖がやってきた。

「やあやあ、汗臭い努力教のみなさん。
 根性論を捨てきれないのはみっともないですよ。
 この世界はすべて才能があるのです」

「そうだ、向かない努力をするよりも
 自分の才能を最大限生かすことをすべきなんだ!」


それを聞いて努力教の教祖は激怒した。


「なにを言う! 努力を軽んじるとは!
 努力し続ける限り必ず夢はかなう!」

「だったら、誰もがオリンピック選手になれるってのか?」

「お前らは自分が努力しない理由を、
 才能だと逃げているだけだろう!」


努力教の反撃に、才能教の信者も顔を真っ赤にした。


「我らは人に向き不向きがあるといっているんだ!
 お前らは個性をすべて否定するというのか!」

「個性があるからこそ、努力が必要なのだ!」

「才能を否定して、可能性をつぶした先に
 どんな未来があるというのだ!!」

もはや武力衝突まったなしの状態。
信者たちの視線の先で激しい火花が散っている。

そこに、一人の信者がふと気づいた。


「あの、どうして、どちらの宗教にも
 女性の信者がいないのですか?」


2人の教祖はすぐに答えた。

「女性がいないのは、努力が足りないからだ!」
「女性がいないのは、才能がないからだ!」


※ ※ ※


「それすっごいわかるーー」
「うん、私も同じこと思ったーー」
「だよね、私もそれ大好きなのーー」

共感教のミサは、お互いを褒め合うことから始まる。

共感教に女性のほとんどが入信していることを、
努力教も才能教もまだ知らなかった。