ノベリスト首脳会談はこちら
最初の議題はノベリストの顔作家の条件です」
ノベリスト首脳会談に集められた4人の天才たち。
短編の達人。
長編の人気作家。
詩のエキスパート。
エッセイの賢人。
どれもノベリストでは名前を見ない日はない。
「問題なのはノベリストそのものの認知度だ」
「ここらで、このサイトを人気出さなくては」
「そのためには顔作家が必要だ」
というわけで、首脳会談が行われた。
「さて、顔作家に必要な条件はなんだろうか?」
しばらくの沈黙の後、短編がひと案上げた。
「まず、自分の作品に妥協しない奴だろう」
「というと?」
「アホみたいにゴミ小説を量産するのじゃだめだ。
"この人の作品は失敗しない"というのが必要だろう」
4人の天才たちは全員納得した。
顔作家たるもの、数を多く書くよりも良い作品を書くべきだ。
次に、長編が手を挙げた。
「もうひとつ、大事な要素を忘れてないですか?」
「なんです?」
「完結させることです」
ああ、と再び4人は納得した。
「終わらない作品を書くことは誰でもできます。
一方で、きちっと収められる力がある人こそ顔作家です」
ダラダラと長く続けていては、
せっかくのブランド力も錆びてしまう。
長編作家はそのことを誰よりも認識していた。
それを聞いて、詩が手を上げる。
「私からもいいですか?
顔作家に必要なものの一つに、文章があると思うんです」
今度は全員の頭に「?」が浮かんだ。
「顔作家に求められるものは、表現力だけでなく文章。
誰にもでも好かれやすい文体であるのが必要です」
「なるほど」
同じ内容でも、好かれる文章と嫌われる文章がある。
「いいや! それだけじゃない!
全員、このサイトがSNSだということを忘れている!」
エッセイが立ち上がった。
「SNSでの評価は作品だけじゃない! 人間性だ!
自分と近い感性を持っていることを伝えなくては!」
「さすがだ!」
エッセイの言うことはもっともで、
顔作家たるもの常に庶民派でなければならない。
作品はいいのに、たまに投稿する日記などで
悪口をぐちぐち書いていれば作品を評価しずらくなる。
「この作家が好き!」=「この作家の考えが好き!」
と誤解を恐れて評価がされにくくなるためだ。
そういう人間心理について、ことにエッセイは敏感だった。
「ようし、出そろったな。
では顔作家の条件をまとめよう」
・決して作品に妥協しない
・必ず完結させる
・全員に好かれる文体
・絶対に嫌な面を見せない
顔作家の条件がまとまった。
「では、次の議題です。
この中で、顔作家になれる人は誰ですか?」
全員が一斉に退席した。
作品名:ノベリスト首脳会談はこちら 作家名:かなりえずき