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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 最終回

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「裕美子、おばあちゃんがそっちに行くまでもう少し待っててね。きっと先におじいちゃんが傍に居てくれていると思うから寂しくはないよね?
今日は私の八十三歳の誕生日だよ。長生き出来て本当に幸せだよ。お前の分までこうして生きておれるんだから、感謝しないとね。ありがとう、裕美子」

あふれる涙が先ほどの花びらの上に落ちた。花びらがそれを受けて光り輝いた。
美幸の涙が光に反射したのであろうか。

「しっかりとしなさい!わかりますか、声が聞こえますか?」

遠いところで聞こえる自分を呼ぶ声に意識が目覚めた。

「はい、聞こえます」

「良かった!もう安心だ。私はここの医師です。自分がどうしたのか思い出せますか?」

裕美子はトラックにはねられて意識を失っていた。
担ぎ込まれた病院で手術が行われて生死の境目を彷徨っていた。
傍に居たしづと美幸が大きな声で名前を呼び続けていた。

天はそして神は裕美子にもう一つだけ運命を変えることを与えた。
それは祖母の願いと天国の幸一の願いだったのだろうか。
運命を変えたいと願っていた裕美子の気持ちがそうさせたのであろうか。

目を開くと美幸としづの顔が見えた。

「お母さん!」

美幸はしがみついて泣きだしだ。