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てっしゅう
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「もう一つの戦争」 最終章2.

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四月二十九日の朝、美幸を送ってから、裕美子は着替えてバスで国鉄駅まで行き、鹿児島へと向かった。市内は復興目覚ましく道路にも車がたくさん走っていた。
デパートでの買い物を済ませて鹿児島駅に向かう途中細い道から出てきた自転車を避けようとして反対側の道路側にはみ出した途端、急ブレーキの音がした。
よそ見をしていたトラックが左側に寄りすぎて裕美子と接触したのだ。

運命の時がこんなに皮肉にも突然襲ってきた。
美幸の誕生日プレゼントを買いに行った帰り道でのことだった。
昭和十六年にタイムスリップしてから十一年が過ぎていた。平成三十八年の未来では美幸は孫の裕美子の墓前に手を合わせていた。
買ったばかりの献花の花びらが一枚落ちた。

ひらひらと舞うその花びらは手を合わせていた美幸の手に舞い降りそして風に乗って足元に落下した。
それを拾って美幸は墓石の上に乗せ再び手を合わせた。
なにかを予感したのだろう。