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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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成人式は洗脳の社交場

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「みなさん、成人式へようこそ。
 この式を境にみなさんはオトナになるのです」

ダメだ、もう我慢できない。
主人公がトイレのため席を立つ。

その後、壇上には大きな機械が運び込まれた。

「これから皆さんには催眠にかかってもらいます。
 大丈夫、すぐに終わりますから」

機械のスイッチが入り、オトナ洗脳が始まった。

 ・
 ・
 ・

「ふぅーーすっきりした」

主人公が会場へ戻るころには、
オトナ洗脳がすっかり終わりきっていた。

「ようし、飲みに行こうか。
 とにかく飲みに行こう。飲みの席で話そう」

「俺の仕事は○○なんだけど、どこどこの会社が……」

「だいたい今の若い奴ってのは本当にダメで~~」


「お、おい。どうしちゃったんだよ」

同年代のはずなのに会話の内容が急にオトナ臭い。

やたら飲み会をやりたがり、
今まではテレビやゲームの話題だったのに
話題の中心は仕事関連の愚痴ばかり。

そして、極めつけは。

「育休なんてのは、女の甘えなんだよなぁ」
「女を偉くすると図に乗るからな」
「まったく、女は男には勝てないんだから」

まるで根拠のない女批判をするようになっていった。

「みんなどうしちゃったんだよ。
 本当は酒なんて好きじゃないんだろ?
 前はもっといろんな話題で話していただろ!?」

「昔はよかったなぁ……」

「いや、数分前だから!!」

いくら説得しても昔を懐かしむばかりで心に届かない。
このままじゃ俺だけみんなに取り残されて……。

いや、違う。
みんなが催眠にかかっているだけだ。
オトナのフリをしているだけに決まっている。

※ ※ ※

『○○地区 合同同窓会のお知らせ』

俺がセッティングした同窓会には、
成人式に参加した連中が集まっていた。
オトナ催眠にかけられた彼らは同窓会に弱い。

「みなさん、それでは本日のメインイベントです」

壇上には大きな機械が運び込まれた。

「これはコドモ催眠装置です。
 全員、いますね? スイッチオン!」

無理にオトナになる必要なんてない。
自分たちの歩幅で俺たちはオトナになるべきなんだ。

「あ、あれ……」

「俺たちはなんで酒なんて好きでもないのに
 こんなに好き好んで飲んでいたんだ?」

「それより、昨日やったゲームがさ~~」

全員にコドモ催眠がいきわたっていた。
これでもううすら寒いオトナごっこから解放されるんだ!

そこに、装置の開発者がやってきた。

「効果の方はどうです?」

「ばっちりです!
 おかげでみんながコドモに戻りました!」

「みんな? それはおかしいですね?
 オトナ催眠も、コドモ催眠もどうしてか女性にはきかないんですよ」

「えっ?」

男たちは同窓会の食べ物ではしゃいでいた。

「おい見ろよ! こっちに唐揚げあるぞ!」
「ジュースミックスしてみようぜ!」
「どっちがいっぱい食べれたか競争だ!」

その様子を、女は冷めた目で見ている。


「男ってなんでこう……子供なのかしら」