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動から静への道程

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『動から静への道程』



笑いが溢れる童女の家には
楽しいことばかりがあるわけではなく
むしろ苦しい日々が流れた

都会の生活には心安らげる緑は少なくて
白い建物ばかりが並び人は建物から
顔を出そうとしない

家の中には笑いあり焦りあり
様々な出来事が繰り広げられ
それは驚くほどのストレスになって
身を襲う


途方もない日々を過ごして帰路の電車に乗る
海が見え平野が広がり
つらなる山と青い空と白い雲

心のなかに少しずつ泉がわいてくる
哀しみも不安も何もない心は
列車に揺られて帰路につく
からっぽの心が現実に戻るのは
何日先のことだろう

何を食べようかとか何をしようかとか
なにも浮かばない夜を迎える
ただ眠りにつきたいだけ


スマホの着信履歴に朝までいた家の
番号がでている
そこから声が聞こえたのは
夕方のころ童女の声

どうして番号がわかったの?
どこかから知ったそして
多分
私の声が聴きたくて
かけた童女からの電話


話し終わっても
童女の声がいつまでも
耳に残っていた
じんわり涙がでてきた

空洞の心のなかで
なにかが動いた
愛 童女への愛しみが
むくむくと蘇った瞬間だった
作品名:動から静への道程 作家名:笹峰霧子