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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第二十話

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出かけるときに息子が起きて来て、送ろうかと言ってくれたけど、今日は駅まで歩いてゆくからと断った。
何かを悟られると嫌だったからだ。

「夜はおとうさんと一緒に焼肉に行くから覚えておいてよ」

「ああ、聞いてるよ。行ってらっしゃい」

「うん、じゃあね」

「母さん!」

「何?」

「いや、何でもない」

「変な子ね・・・」

玄関を出て息子の言おうとしたことを考えたけど解らなかった。
まさか洗面所での姿を覗き見された?それはないだろう。では、何だ?
そう思っていると駅に着いてしまった。

待ち合わせのホテルニューオータニは結婚式が行われていた。
それらしい衣装のグループが男女に分かれて話をしていた。お婿さん側とお嫁さん側のお友達なんだろう。
こんな場所で式と披露宴が挙げられるだなんて羨ましいとわたしは思った。息子と娘には望むならここで挙げてほしい。そんな気持ちにさせる雰囲気であった。

後ろから肩を叩かれ、振り向くと野口の笑顔があった。

「お待たせ。ピッタリ14時だ」

「私も今来たところなの。結婚式があるのよね。素敵なお嫁さんなんだろうなあ~」

「そうかも知れない。ボクには貴子さんのほうが眩しいよ」

「野口さん・・・」

「行こうか?」

「はい。」