一方通行のカスタマーサポート
ここではお客様からの声を一緒に学んでいきましょう。
>ふざけんな!死ね!!
>もうこんなところ居たくない!
>こんなのおかしい!かえしてくれ!
>帰りがないなんておかしいだろ!!
おやおや、のっけから痛烈ですね。
お客様の中には好意的な人もいれば
同じくらいの否定的な人もいることをまず知りましょう。
まして、旅行会社ともなれば
自分の理想通りじゃなかっただけで非難されます。
でも、ここで慌てて
「すみません」とか「ごめんなさい」と謝ってはいけません。
>いい加減にしてくれ!早く返事しろ!
>絶対許さないからな……絶対に……
どうです? クレーマーが減ったでしょう?
もし、さっき謝っていた場合
彼らは自分の考えを正当化してもらったと思えて
さらに文句をつけてくるようになるんです。
さて、残った2人のクレームは
最初と比べてガチギレ感が半端ないですが恐れてはいけません。
>殺す殺す殺す殺す殺す殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺
うわぁ! 驚きましたね、怖いですよね。
ですが、よく見てください。
クレームの人数が減ったでしょう?
クレーマーの文句はどんどん過激になっていますが、
あえて相手にしてあげないことで手ごたえを失い
結果として、自然消滅して土にかえってくれるんです。
大事なのは、同じ土俵に立たないこと。
私たちは常に冷静な心で対応しましょう。
研修生のみなさんはこのことをよく理解してくださいね。
さて、続きの投書を見てみましょう。
ないですね。
ついにクレームつける人はいなくなりました。
繰り返しになりますが、
大事なのは"相手にしない"ということです。
クレーマーというのは、
それが正しいかどうかの証明よりも
誰かに相手にされることを求めている寂しがり屋なんですから。
さて、今日の講習はここまでです。
質問がある人は挙手して下さ……ああ、そこの人、どうぞ。
「先生、でもこのクレーマーって、
無人島行きツアーの参加者ですよね?
それってつまり……」
ほかに質問ある人は?
いない?
それでは講習を終わります。
それじゃ今質問したやつ、無人島行き決定な。
作品名:一方通行のカスタマーサポート 作家名:かなりえずき