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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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気持ちのままに

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愛犬


我が家では犬を5匹飼っている。1匹は母犬で3匹はその小犬である。その4匹はトイプードルで、あと1匹は雑種の柴犬で、近所に捨てられていたのを拾ってきたのである。散歩は一日2回行くのであるが、5匹は大変なので、妻が3匹、僕が柴犬の雑種(こころ)とトイプードルの身体の一番小さなモモを受け持っている。
 10日ほど前のことモモの歩くのが遅くなり始めた。こころは体が大きいからと思いながらも、いつになっても追いついてこないから、僕はリードを引っ張ってしまう。すると引きずられるように歩いてきた。普通なら走るはずなのだ。
 2日ほど様子を見たがおんなじ状態なので、かかりつけの獣医さんに見ていただいた。
 [血液検査をしましょう。点滴しますから、入院してください」
 と言われた。夕方電話があり、獣医さんの所に行くと
「アジソン病かも知れません。急性ですと命の危険もあります」
との説明があった。
 それほどの病気だとは思っていないから、早く気づいてやれなかった自分の責任を感じた。
 幸いに3日の入院で退院できた。薬を飲みながら、様子を観ることになった。以前のような元気はないが、『死ぬかもしれない』と言われ生きて戻って来てくれただけでも嬉しいから、今までにはなかった感情でモモの体を撫でた。
 他の犬達も嬉しいのだろう、モモの身体の臭いを嗅いでいる。僕は自分の罪が軽くなった気分であった。
 まだ、安心はできないが、生きていてくれるだけでも僕は嬉しい。ただ、正直、そう思っている。
 愛おしさとは、何かをきっかけに、異常なほど湧いてしまう。平穏なら感じないことだろうが・・・・
 ふと、妻に対しても、細かな配慮をしなければと感じたのだ。












作品名:気持ちのままに 作家名:吉葉ひろし