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てっしゅう
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「幸せの交換」 第十六話

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「貴子、我慢できなくなったら連絡してよ。会って話をすれば気持ちが落ち着くって思う。恭子も呼ぶから。約束して、黙って変なことしないって」

「登志子・・・嬉しいけど、恭子にも迷惑かけちゃうし、自分で気持ちを抑えて我慢するから。ありがとう」

「本当よ?約束してね。お母さんが浮気なんかしてたら、息子さん娘さん悲しむわよ。そのことも頭に入れておいてね」

登志子が言った息子や娘に知れたら母親としてどう向き合えばよいのか解らなくなるだろう。考えれば考えるほど自分の抱えている問題は公には出来ないし、解決方法が無さそうに思える。
今夜も夫は好い気で私を抱く・・・もう指の刺激では最後までイカなくなっていた。気持ちの問題なのだろう。最初の時はあんなに気持ちよかったことが思い出される。

会社に野口が顔を見せたのは一月後だった。課長は通販で何かを定期購入している。自宅に届けられない理由は何だろうと疑った。聞くものではないと思ったが、送り主の名前を見ると、中身は健康食品だということが解った。
野口は帰るときに私にメモを渡した。

給湯室に入ってそのメモを見た。
話がしたいので連絡をくれ、と書いてあった。携帯の番号は夫に教えたものとは違っているように感じた。三時の休憩時間に私は電話をした。

「ありがとうございます。野口です」

仕事の携帯電話だったのだ。

「兵藤です」

「あっ、ありがとう。今電話してていいの?」

「休憩時間だから十分ぐらいなら構わない」

「良かった。電話くれて嬉しかったよ。聞いて欲しいこともあるから一度飲みにでも行かないか?」

わたしは期待していたのだろう。断ることはしなかった。