便利で個性の無い老人言葉
ずいぶん昔から老人が話す言葉に ワシは ○○じゃ ○○じゃろう ○○のう などが使われている。文章のみならそうしないと雰囲気が出ないということもあるが、姿形を描いてあるのでわざわざそんな言葉を使わなくてもよさそうな漫画でも使っている。もちろんプロの作家も使っているし、役割語と思ってスルーしていいのだが。。。。。
ここノベリストの作品でも度々目にする。例えば小さい頃からボクと言ってる人は老人になってもボクと言っている。自分が老人になって、もう老人じゃ、ワシも使わねばのう、などと急に言い出すことはない。くだけた感じのごく短い話ならそのほうがいい場合もあるが、全体的にリアルな話の中にも安易に使われているように思う。極端な言い方をすれば、実写の映画の中で、ある老人のみがアニメで登場しているような感じに思ってしまう。
自分の書いた小説に老人が出てくることは少ないのだが、年齢を60代に設定してある「天才飯田橋博士の発明」は、使ってもいい内容だが、老人ことばにはしていない。
作品を書き上げるとその高揚感で早く発表したいと思うものである。しかし、一度熱が冷めてから違和感はないか、他の表現は無いかと考えながら読み直してみることも大切だと思う。
作品名:便利で個性の無い老人言葉 作家名:伊達梁川