からっ風と、繭の郷の子守唄 1話~5話
からっ風と、繭の郷の子守唄(4)
「広瀬川プロムナードと、125CCのスクーター」
前橋市千代田町をながれる広瀬川沿いに、「前橋文学館」が建っている。
「萩原朔太郎記念、水と緑と詩のまち前橋文学館」というすこぶる長い名称がついている。
多くの詩人を輩出した、前橋市の風土と文化を象徴する建物だ。
入口に、不安定な形で台座にもたれかかり、顎に右手を置き、
ひたすら思索にふける萩原朔太郎の銅像が建っている。
川に架かる「朔太郎橋」には、交友の深かった北原白秋や室生犀星、草野心平の
詩が書かれた銘板がはめ込まれている。
「ねぇ。1時間くらいでかならず迎えに来て。
今日は広瀬川の場所を覚えただけで、充分だもの。
どちらかといえばわたしは、康平が作る夏野菜の料理へすっかり、
関心が移っています」
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 1話~5話 作家名:落合順平