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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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想像を超えない赤ちゃん

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「やっぱりうちの子が一番かわいいわ!」

親はわが子の顔を見てうっとりと言った。
他の人から見れば、そう特別可愛いいわけでもない。

翌日、赤ちゃんは生後1日にして歩き始めた。

「まあ! うちの子ったらなんて天才なのかしら!」

よちよち歩く赤ちゃんを親は抱きしめる。

「ああやっぱりうちの子が一番かわいいわ。
 おぼつかない足取りなのがさらに可愛いわ!」

それまで親バカと切り捨てた人たちも、
たしかにその赤ちゃんが可愛く見えてきた。



翌日、赤ちゃんは生後2日にして
顔のベースがほぼ完成されアイドル顔になった。

「まあ! うちの子がどんどん可愛くなるわ!」

今や病院内でその赤ちゃんはアイドル的な存在になり、
寝たきりのおばあちゃんが這いずりながら見に来るほど。

「この子には特別な才能があるに違いないわ!
 本当に可愛いんだからぁ!」

親は嬉しさと愛らしさでまたわが子を抱きしめた。



翌日、赤ちゃんは生後3日にして
言葉を話し複雑な勉強をあっさりとこなすようになった。

「お母様、私はこの世界を憂いております。
 もっと人と人とがコンプライアンスしていけば……」

「なにこれ可愛くない」

親は迷わずわが子をぶっ叩いた。
すると、それまでの聡明な顔つきが一気に失われた。

「だあ、だあ。ぶーぶー。まんま、まんま」

「ああ、本当にうちの子ったら可愛いのね!」

親はわが子を抱きしめた。


「やっぱり、私の想像を超えないくらいが一番かわいいわ!」