小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

最高の発明家・最強の兵器

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「おい、聞いたか。
 どうやらこの国も敵の標的になったらしい。
 すでにスパイも入り込んでいるって話だ」

パイスは研究所の二人に急いで伝えた。

「それは本当なのか、一大事じゃないか」

「こうしちゃいられない! すぐに手を打たなくては!」

バマヌとケケ、そしてパイスの3人はみんな優れた開発者。
けれど、これまでやってきたのは開発ばかりなので
どうすれば戦いを防げるか考えたこともない。

「そうだ、最強の武器をそれぞれ作ろう」

パイスが言い出した。

「そんなもの作ってどうするんだ?」

「俺たちの国がいかに強力な武器を持っているかわかれば、
 きっとほかの国も攻撃してこないだろう?
 もちろん、使うつもりはないけどな」

「なるほど、聞いたことあるぞ。"よくしりょく"だな」

バマヌはそこで思いついた。

「ようし、それじゃあ個別で作ってこよう。
 みんなそれぞれ最強の兵器を作ってくれば
 ここには3つの最強(と思う)兵器がそろう」

「なるほど!」
「やったるぜ!」

3人はそれぞれ競うように開発を進めた。
後日、みんなばらばらの兵器を持ってきた。

バマヌはミサイル。

「このミサイルは着弾するとあたりを火の海にするんだ。
 ふふふ、すごいだろう。でも、それだけじゃない。
 さらに搭載しているナノファイバーがエクシナリズム……」

「えと、つまりどうなるんだ?」

「この1発さえ打てば、国が終わるわけだ」

ぬはは、とバマヌは自信たっぷりに笑った。
その様子を冷ややかにケケは観ていた。

「これだから脳筋はすぐにミサイルを作りたがる」

ケケは小さな試験管を見せた。

「これは極小のウイルス。治療法はない。
 感染すれば、感染に気付かないでそのまま誰かに伝染し……」

「つまりどうなるの?」

「この1発さえ打てば、国が滅びる」

「だったら俺のミサイルが!」
「いいや、俺のウイルスの方が有効だ!!」

バマヌとケケは自分の開発力と殺傷力を比べてケンカを始めた。

「それで、パイスは何を作ってきたんだ?」

「僕は声を変える装置」

パイスが実演してみせると、パマヌやケケの声はもちろん
アイドルや芸能人はては大統領の声まで完全にコピー。

でも……。

「なんじゃそりゃ」
「最強の兵器はミサイルかウイルスのどちらかだな」

完全に最強決定レースからは外された。
結局どれだけ性能を説明してもお互いにはわからないので、
後日より最強にして比べっこすることになった。


数日後、3人は再び会いまみえた。

バマヌは超小型のレーダーを持ってきた。

「これは前のミサイルに取り付けるレーダー。
 敵のレーダーには映らなくなり、撃墜もできなくなる」

「つまり……」

「最強にして、必中というわけだ! まさに最強!!」

その説明を聞いて再びケケが笑い出す。

「まだ敵を殺すことしか考えてないのか筋肉だるま。
 戦いってのは戦ってないときに勝敗が決まるんだよ」

ケケが出したのはまた試験管。

「それはなんだ? 今度は別のウイルスか?」

「逆さ、あのウイルスの唯一のワクチンだよ。
 これを持ってる状態で相手を感染させれば、
 自動的にワクチン持っている人間にすがってくるだろう?」

「つまり……」

「国単位の強制使役装置ってわけさ」

かたや物理的に相手を屈服させるミサイル。
かたや精神的に相手を屈服させるウイルス。

どちらの兵器も、最強という意味ではまさに互角だった。

「それで、パイスは何を作ってきたんだ?」
「また前みたいなゴミじゃなよな?」

「今度はちゃんとした兵器だよ」

パイスが取り出したのは、どこにでもあるスタンガン。


「……え?」
「なにそれ」

「わからない? スタンガンだけど」

「それはわかるけど、それがお前の思う最強兵器なのか?」

「この電流を浴びれば1時間は必ず目が覚めないんだ」

パイスは喜々として説明してみせるも、
二人は完全にしらけきっていた。

「そんなしょぼい機械、よほど油断してる相手にしか……」
「1時間じゃ、国を倒すことなんてできないよ」

「そんなことない。
 これさえあれば国をつぶすことだってできる」

「「 あははははは! 」」

二人はこらえきれずに笑ってしまった。
その瞬間、パイスは二人にスタンガンを密着させた。


バチバチッ。


電流が流れて二人はそのままの表情で倒れた。
パイスはそれを確認してから仲間に連絡した。

「俺だ、パイスだ。予定通り作戦を決行する」

パイスは声を変える装置を使って関係各所に連絡した。


『私だ。大統領だ。
 これよりミサイルとウイルス兵器の発射実験をする。
 なお、これは訓練なので気にしなくていい』

「「「 わかりました、大統領 」」」


その後、ひとつの国が一人のスパイによって壊滅させられた。