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みやざきしんいち
みやざきしんいち
novelistID. 56782
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蜘蛛の糸

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うちに一匹の蜘蛛を飼っている。

飼っているというよりも、同居している。いつの間にか彼?彼女が、うちにいついているのだ。

とっても小さい、足の小指の爪ぐらいの大きさの蜘蛛だ。ハエトリグモ、というらしい。

愛着があるけど、名前はまだない(笑

いつもはどこにいるのかわからないのだけど、

ときどき思い出したように視界に入っている。

ときには玄関に、ときには階段に、ときには寝室に。

僕は昆虫全般、触ることができないのだけど、とくにGなぞは見るのも嫌なのだけど、この蜘蛛だけにはなぜだか愛着がある。


今日は朝からお風呂の掃除をした。

重曹とお風呂用洗剤を使って、壁からなにから全部洗っちゃうのだけど、ふと見るとこの蜘蛛が浴室にいるじゃないか。

あやうく、シャワーの水で流しちゃうところだった。

このままじゃ掃除できないから、「あっち行け」と言わんばかりに手で風を起こしたてみたり、息を吹きかけてみたけど動きゃしない。

しかたなく蜘蛛に水がかからないように、いつもより慎重に掃除をした。

蜘蛛は掃除が終わるまで、動かなかった。


なんでこの蜘蛛に愛着があるのだろう。

なんだか蜘蛛を見ると、芥川の蜘蛛の糸を思い出すからだろうか。

なんとなく気ままに過ごしているけど、どこかで最後は救ってほしいという願望があるからだろうか。

この蜘蛛をみるとなんだかちょっと人生のことを考えちゃう。
作品名:蜘蛛の糸 作家名:みやざきしんいち