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佐崎 三郎
佐崎 三郎
novelistID. 27916
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「デリヘルの恋人たち(九)」

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「デリヘルの恋人たち(九)」

彼女の肉付きのいい、どちらかと言えば体育会系にも思えるしっかりした太腿を大きくゆっくり広げる。薄暗がりの中で大きな植物の花が開いていくようにも見える。まんこの穴、つまり膣と言われる穴に全神経を集中している中で、この不思議な濡れた洞窟を冷静に考えてしまう自分に気付く。このまんこの奥深くに袋なような宇宙があり、その中に精子を入れてあげれば、卵子と合体し、生命が出来上がるのだ、と。命が作られるのだ。こんな解けようのない問いを前に、快楽を貪ることを人間はしなければならないのは、快楽の裏の、人生の重みや生きることの四苦八苦までを覚悟しなければならない事への代償なのかと。全身の毛穴が開き、震える悦びのしっぺ返しとも言える。

彼女は我が硬直した陰茎を、濡れたまんこの穴を中心に欲している。この暗闇の中のテカリ光る黒い穴、今はほんの少し開き、ひくひくしているだろう穴へ入れようと私も必死だ。しかし、ここで寸時に入れることを何故か躊躇する心もある。先ほどもじらし、涎も愛液も亀頭からの汁も十分出ているのも分かりながら、こうして快楽の、まんことチンコの縺れ合いに突っ走っていることに軽いブレーキをかけてしまう。これが何かへの怖れなのか。

ゆっくりゆっくり、亀頭をまんこに近づけて、撫で、話しかけるように左右に振り、彼女の小さく、悦に入った喘ぎ声を聞きながら、その穴に周りを刺激してみる。ぴちゃぴちゃと液と陰茎が音を立てる。生命の音楽が奏でられている。入れる。入れてゆく。そっと、まんこの穴に。彼女の歪んでゆく顔に顔を近づけ、唇に舌を押し付けた。舐める。舐めまわす。陰茎はどんどん奥深くへと進んで、袋の壁に当たったような感触を得た。

「入った」
「うん、入ってる。奥に入ってる。いい、きもちいい、いい」
「こうしたら」
「ああ、いや、ああ、きもちいい」

息をかけ、唇で顔を舐め、耳や首筋、顎の先、目の端々へと舌で触れていくと、見えない処で陰茎が締め付けられたり緩められたりしている。自分も硬さを増すために力を入れたり、緩めたりしながら押し引きの動きを始めた。この滑りの感覚は何にも譬えようもなく、ただただまんこの凄さに感動し、いま目の前の女を絶頂へと連れていきたいとただただ思うのだ。硬く伸びあがった乳首の肉を唇でそっと咥えて、歯で甘噛みしながら、舌で舐め上げた。
膣がきゅっと立ち上がったかのように、我が陰茎は感じて、まず一度目の頂へと導こうと、腰から尻にかけて掌を差し込み、ぐっと掴み上げ、鉄の棒を突き刺すように押し付けた。
うっと仰け反り、濡れた穴からも声が聞こえたかのように薄闇に響いた。  (つづく)