小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

人類でもっとも頭がいい人

INDEX|1ページ/1ページ|

 
軌道戦士ダンガルはもう124回目の視聴になるが、
何度見てもこのシーンでは胸がおどる。
特にパーツ分裂時の関節可動域の限界性を感じさせつつも
ダンガルの重厚感を損なわない演出はまさに監督の神の采配とも…

「たかし!
 あんたまたアニメばかり見て!!
 いい加減仕事でも探しに行きなさい!!」

「仕事なんか行くよりもずっと大事なことがある!」

「それがその見飽きたアニメを見てネットするだけかぃ!
 あんたみたいなごくつぶし、生きている価値ないよ!」

「ダンガルは人間の根幹が描かれている!
 聖書を読むのと同じだ! 見続けてなにが悪い!」

母親とのいつもの口論がまたはじまる。
でも、今日だけはすぐに切り上げることになった。

つけっぱなしのテレビから、宇宙人が現れたからである。


『人類のみなさんこんにちは。
 これから人類を滅ぼすかどうかの判断をします。
 つきましては、人類の有効性について知恵比べをしましょう』


モニターの中での宇宙人はニコニコ笑いながら
口から出てくる言葉はどれも凶悪で支配的。

これが冗談じゃないことがよくわかる。

『ただし、チャンスは3回。
 3回、私との知恵比べに負けた場合
 人類は現存する価値ナシとして即絶滅させます』


俺が得意のネットで検索すると、
宇宙人はすでに人類の平気のたぐいを先につぶしてしまった。
もう人類を救う方法は知恵比べしかなくなった。


世界は、この地球上でもっとも偏差値の高い人間を送り込んだ。
宇宙人は宇宙から問題を出し、その模様を全世界で配信されている。


「‰+ρ×Ξ=?」
「3です」

「∀×∇+∞=?」
「2です」

おお、と思わず声が出た。
さすが世界最高の偏差値を持つ人間。

問題の意味はいっこもわからないけど、
宇宙人の質問によどみなく答えていく。

「では、最後の質問です。
 1,2,6,24,120,?? ?に入る数字は?」

「えっ……」

偏差値人間は一気に黙ってしまった。
規則性があるようだけど見つけられない。

悩んでいるうちに、頭に血が上りすぎて倒れてしまった。

「1回目の知恵比べは私の勝ちです。
 さあ、人間のみなさん残りは2回です」

「僕にまかせてください」

今度出てきたのは世界でもっともIQが高い人間。

「ちなみに、さっきの答えは720ですね。
 1、2、3、4…を順番に前の数字にかけている」

IQ人間はさらりと答えてしまう。
偏差値人間でできなかった柔軟な答えを出せる。

これは期待できるんじゃないか。

「いいだろう、では2度目の挑戦を受けましょう」

IQ人間は宇宙人の答えにすらすら答えていく。
あっという間に最後の問題へとたどり着く。

「では最後の問題です。
 ソーセージとウインナーの違いは?」

「うえぇ!?」

ここで一気に問題の毛色が頭を使うものから、
単純な知識を求める問題へと変わった。

「ぶー。時間切れです。
 ソーセージはカテゴリーの名前で
 ウインナーは一部のソーセージの商品名です」

「わかるかぁ!」

IQ人間はその頭の良さからものを知らなくても
自分の手持ちの知識だけでいくらでも工夫して乗り切れた。

その特性がここではあだとなった。

「2回目の知恵比べも人間の負けです。
 3回目は……もうやらなくていいですね。
 これ以上頭のいい人間はこの世界にいないでしょうし」


そこに俺がやってきた。

「あなたが3回目の挑戦者ですね。
 IQも偏差値もさっきの人間よりずっと劣る」

「でも、一番頭がいい」

俺の言葉に宇宙人は首をかしげるが、
人類の命運をかけた最後のテストが開始される。

「●△×■=?」

宇宙人の問題が出ると、それをすぐにネットで検索。

「9です!」
「正解」


「1,8,2,7,3,6,4,?? ?に入る数字は?」

全然わからないけどネットで検索してみる。


「…7です!
 上から順に-7,-6,-5されています!」
「正解」


「缶詰をはじめて開発した人は?」
「ナポレオン」
「正解!」

質問の意味が分からないものばかりだけど、
ネットであればどんな答えもたちまち出せる。


「では最後の問題です」


ごくり。
この一問で人類の命運が決する。


「アニメ『軌道戦士ダンガル』の第24話にて、
 ダンガルの換装シーンの作画を担当した監督はだれ?」


「太田 守 監督!!」

間違いない!
第24話は何度も見直したし、
エンディングのスタッフロールも見逃さない。

ネットで調べるまでもない!!

「どうだ! 間違いない!!」

宇宙人の答えは……。




「えーー、でもwikipadiaには
 官崎 駿 監督って書いてあるので、間違いですね」

人類は滅亡した。