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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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夜中にふとアイスが食べたくなりコンビニへ。

「らっしゃいやせ」

アイスの売り場にまっすぐ向かって、
気に入ったひとつを手に取りレジへと歩く。

「これ、お願いします」

「お客さん、コンビニIDはお持ちですか?」

「こっ、コンビニID?」

「今、犯罪防止のためにコンビニIDがないと
 コンビニで買い物できないんですよ。
 今ならポイントがたまってクーポンが……」

「ああわかりました! わかりましたよ!
 そのコンビニIDってのはどうすればいんですか!?」

「こちらの書類に記入していただければ」

アイスが溶けてしまう前に早く済ませたいのに。
なんだってこんな時間がかかるものを。

店員が出した書類には記入項目が細かくびっしり。
住所、名前、電話番号、ペットの名前に、メールアドレス。


「やっほーID……?」

「ええ、コンビニIDに登録には
 やっほーIDが必須なんですよ。
 記入していただかないと買い物できません」

やっほーIDなんて登録したのはいつだろう。
もうパスワードもなにも覚えていやしない。

やっほーにアクセスして、パスワードとアドレスを再送信する。

「よし。あとはこれを確認すれば……」


受信BOXを開くにはごーぐるIDが必要です。


「またかぃ!」

ごーぐるIDなんてもう忘れたよ! 何年前だ!
でも、ごーぐるIDがなければやっほーIDがわからない。

やっほーIDが分からなければコンビニIDを作れない。
コンビニIDを作れなければアイスが買えない。

「ああああああ!! なんてめんどくさいんだ!!」

「ですが、登録していただかないと買い物できません。
 これも規則ですから」

「規則なんて知るかぁ!! こっちは金があるんだよ!
 コンビニIDなんてなくっても買い物くらいさせろ!」

「いいえ、できません。
 早くごーぐるIDを入力してください」

店員のつっけんどんな態度に俺はわざとのっかる。


「いやだ! こうなったら意地だ!
 ぜったいに登録しないで買ってやる!!」

「いいえ! ダメです!」

「買ってやる!!」

「いいえ! 登録しないとこれは受け取れません!」

店員が突き返した金を財布に戻す。



「……わかったよ、しょうがない。
 コンビニIDを登録するよ」

「ありがとうございます
 (最初からそうしろよ。渋りやがって)」

ごーぐるIDを取って、やっほーIDを確認。
やっほーIDを入力してコンビニIDを登録する。


「これでいいな!!」

「ありがとうございました」

客がコンビニを出ていったのを確認すると、
店員は書類を手に取って大喜び。


「あははは!!! バーカ!
 コンビニIDなんてあるわけないだろ!!
 こんな簡単に個人情報が手に入るなんてな! あははは!」

飛び跳ねている店員を見て、店長がブチ切れた。


「バカはお前だ!! あの客、金支払ってないぞ!!!」