墓荒らし、、、夢の中の影
2015.09/08.00:24.53
疲れ切っていた男は、この地で野宿をして一夜を過ごした。そして男は夢をみた。夢の中に現れた影は墓石に刻まれた文字を掻き消してしまった。
翌朝、男が目覚めると英雄の墓は何者かに滅茶苦茶に荒らされてしまっていた。墓石の文字も念入りに潰されて消えてしまっている。墓の周辺には14人分の足跡が残されていた。男はこの中の14番目の足跡の主こそが、夢の中でみた影なのだろうと感じていた。その者が何者なのかは定かではない。英雄の死の謎を求めてこの地に辿り着いたとしても、もう誰もあの文字を読むことは出来なくなってしまった。少なくとも13人の者があの文字を読んだ筈である。しかし、その者たちもいずれはあの言葉を忘れてしまうことだろう。
作品名:墓荒らし、、、夢の中の影 作家名:黄金鼠