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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「妖刀正宗の復習」 最終回

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男は迫りくる逮捕までの状況で居場所を転々と変えていたが、金も無くなり寝泊まりする場所にも困り果て、古びた田舎の県道に掛かる橋の下で腰を下ろし、初めて正宗を鞘から抜いて眺めていた。
月明かりに照らされた刀身は怪しく光り見つめる男の目は釘付けとなった。

「これは・・・素晴らしい妖気だ。身震いする。己は妖刀だと聞いている。もしそうなれば今すぐこのおれを殺すがよかろう。どうだ・・・」

右手に高く掲げられた正宗を見つめながらそうつぶやいた。
雲一つなかった夜空に一瞬月明かりが途絶えて生暖かい風が男の肌に吹き付けた。
しばらくして月が顔を出し目の前に立っている色白の女の顔を映し出した。

「お、お前は・・・正宗の怨霊だな」

「正宗を盗み出すとは大胆な奴だ。お前こそが盗賊団の一味だな?」

「ふん、盗賊団などこの世にあるものか。お前が死んだ時からもう400年近く時は過ぎているのだぞ。訳は知っている。おれはこの正宗の強い妖気に惚れて命掛けで盗んだのだ。あのガラスケースに閉じ込められていたなら、お前は永遠に復習など出来なかったぞ。違うか?」

「この正宗を解き放ったと言いたいのか」

「そうだ。おれにはそれだけの理由がある。聞いてくれるならお前の言うとおりにしよう。どうだ?」

「私はお前の血を吸い尽くすだけで生き延びることが出来る。それでも良いのだぞ」