キミは蝶だった
キミがいる
こちら側には
ボクがいる
二人を隔てる
白壁は
くり抜き窓が
空いている
キミがくれるは
空グラス
使用すみの
空グラス
ボクが受け取る
その横に
デンと構える
食洗器
四角い窓の
その中で
キミの白い手
蝶になる
蝶は羽ばたき
舞い上がり
ボクの目先に
舞い降りる
黒のドレスの
揺れる袖
光るグラスは
琥珀色
しなやかキミの手
ボクの前
思わず掴み
そうになり
はっとわれに
かえるボク
お願いしますの一言と
ありがとうの繰り返し
顔は一度も見ないけど
瞼に焼き付く手の動き
短い夏は
いったけど
短い夏は
いったけど