「妖刀正宗の復習」 第五話
少し離れた場所の物陰に隠れ警備員が巡回してくる時を待った。
展示室へは警備員が持っている鍵を奪って入ろうと計画していた。
身の軽さと大胆な行動は自分が持つ生まれつきの身体能力であった。その理由は解らない。
深夜零時を回って遠くから足音が聞こえてくる。
警備員の巡回する時間が来たのだ。
男は息を殺して彼が近づいてくるのを待った。
目の前を通り過ぎようとしたその瞬間、飛び出して首を掴み一瞬にして床に引き倒し気絶させるほどに腹部を殴った。
低いうなり声と共によだれを流して警備員は意識を失っていた。
展示室に入る鍵を見つけて男は侵入し、ガラスケースに納められた正宗をそのまま持ち出し、建物の側面の窓ガラスを破って外に出て停めてあった車に積み込んで逃げ去った。
作品名:「妖刀正宗の復習」 第五話 作家名:てっしゅう