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Delusion cat

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「いいよ、別に。足開けばいいの?」
そう言って少年、猫矢悠里の口は弧を描く。
「…本気?」
その様子に言い出したはずである青年、渋谷久水は目を丸くする。
「都合のいい方に取ってくれてもいいよ?で、どうすればいいの?」
悠里はぬるいココアを飲みほし、小首を傾げる。
久水はその言葉にすっと目を細めてから、口を開いた。
「じゃあ、とりあえず脱いでくれる?」
「はーい」
言われた通り、悠里はするすると抵抗なく衣服を脱いでいく、が。
「…どうしたの?」
デッサン用のスケッチブックを出している久水が、ふと手を止めた悠里に声をかける。
「…べつに」
残りのトランクスも脱ぎ去り、それを適当にぐしゃっとまとめて足元に寄せる。
表情はなんとも言えないようで、視線をさまよわせてる。
「恥ずかしい?」
「…思ったよりは」
「そっか。じゃあ、ベッドに座って?寒くない?」
おとなしくベッドに腰掛けた悠里は平気だと小さくうなずく。
「このポーズできる?」
久水はそれを確認してから、デッサン人形を差出し、ポーズの指示を出す。
指定は、両手を後ろについて胡坐をしている、少し自身を見せつけるようなポーズだ。
「顔、こっち向けて」
少し恥ずかしさは抜けないのか、フルフルとかすかに震える瞳で悠里は久水を見つめる。
「…少年」
「…なに」
「…起たせなくていいから。萎えたの描かせて」
「………変態」
ありえない、と悠里は声にならない声で呟く。
抜いて来いと言う久水にも、あんな視線で反応してしまった自分自身にも。


バイトは前途多難。




作品名:Delusion cat 作家名:深鹿