かみなりさんと歌う橋①
1.でっかい橋が見えてきた
かなちゃんはとってもごきげんでした。今日は年に一どのキャンプ旅行の日だからです。
「お父ちゃん、まだつかんの? はよはよ」
朝、車にのったときから、かなちゃんはからわくわく、そわそわ。たびたび立ち上がっては、うんてんせきのお父ちゃんをせかします。
いっぽう、弟のれんくんは、となりですやすやねむっています。朝早くに出発したので、ねむたかったのでしょう。
「かな、おちつけ。そなにいそがんでも、キャンプ場はにげやせん」
「はあい」
お父ちゃんにたしなめられ、かなちゃんはしぶしぶ、くじらのざぶとんをしいたシートにこしを下ろしました。本当はすわりたくなかったのですが、あんまりうるさくすると、お父ちゃんが「下ろすど!」ってこわいのです。
とはいえこんなにうれしい日。だれがおちついてなどいられましょうか。
かなちゃんがちょっぴりふくれっつらでいると、お母ちゃんがぽんぽんとかなちゃんのかたをたたきました。
ふりむいたかなちゃんに、お母ちゃんはまどの外をゆびさしてみせました。
「ほら、見てみ。この橋わたったらすぐそこや」
「えっ、ほんま?」
かなちゃんはお母ちゃんによりかかるようにして、まどに近よりました。
そして、お母ちゃんのゆびさすほうを見ました。
するとそこには、とっても大きな橋。まるで、雲をもつきぬけるような大男が、ごろりと寝そべっているような橋がかかっていました。
作品名:かみなりさんと歌う橋① 作家名:Koyamaのアネキ