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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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タイムリミット赤ちゃん

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おぎゃあおぎゃあ

「顔を、顔を見せてください」

「はいどうぞ。元気な女の子ですよ」

親の元に赤ちゃんが渡された。
赤ちゃん、というにふさわしいほど体は真っ赤。


18:000:00


「あの……これは?」

赤ちゃんにはタイムリミットがついていた。




08:306:11

10歳になると、リミットの意味がわかってきた。
私の体に刻印されているこのリミットは寿命らしい。

残り8年と306日11時間。

つまり私は18歳のときに、リミットが来る。

「時子ちゃん、お医者様にいきましょう。
 きっと手術かなにかで取り外したりできるはずよ」

お母さんの言われるまま手術をすることに。

手術がはじまり、私から見える医者たちの顔色で
なんとなく「ああ無理なんだな」とわかった。

術後、先生は暗い顔で告げた。

「ま っ た く わ か り ま せ ん」

「ですよねー」

「このリミットは心臓と連動しているので、
 取り外すこともできませんし解除することもできません。
 爆発すればいったいどうなるか……」

「爆発するんですか!?」

「はい、体内にはそれらしきものがありました」

看護師が一気に後ずさった。
病院を出てからも、周りの人たちは私を避けた。
爆発するのはまだ先なのに。

「時子ちゃん、何があってもお母さんは見捨てないからね。
 お父さんと離婚した日から一生面倒見るって約束したもの」



01:110:03


17歳になると友達もできた。
中学生のころは爆弾の事実を隠そうとしても、
必ずバレて友達が離れたこともあり、高校生では隠さないようにした。

「時子ちゃん、私ずっと友達だから!」
「時子ちゃんになにがあってもずっと一緒だよ!」
「だって私たち親友でしょ!」

「みんな……! ありがとう……!
 わたし、わたし、みんなに会えて本当によかった!」

友達と抱きしめ合い、人の温かさが身に染みた。
私の寿命は残り1年110日3日しかないけれど、
こんなにやさしい人に出会えて本当に幸せ者だ。


00:009:16

残り9日16時間。


「来ないでよ!! もし暴発したらどうするの」
「ちょっと優しくしただけで勘違いしないでよ」
「可愛そうだからかまってあげただけじゃん!」

「みんな、親友じゃなかったの!?
 ずっと一緒にいてくれるんじゃなかったの!?」

「「「 そんなわけないでしょ! 」」」

リミットは着々と進んでいる。
でも、私が転んだ拍子に暴発する可能性もある。
一緒にいる時間が長ければ長いほど、
その危機感にさらされるストレスは増えるのだろう。

一度は私に近づいてくれた人も、
時間経過とともに命が惜しくなって離れてしまった。



00:001:05

爆発まで、残り1日と5時間。


「ここは……」

"政府が君のために用意したシェルターだよ"

シェルターなんて耳触りがいいけれど
実際は私を隔離するための場所だとわかるって。

特注強化ガラスの向こうで、お母さんが必死になにか訴えていた。



00:000:02

残り2時間。


隔離室のドアが開いてお母さんが入ってきた。

「時子!!」

「お母さん!?」

「時子、ひとりにしてごめんね!
 怖かったよね! 心細かったよね!?」

「お母さん、ちょっと苦しいよ……」

「お母さんはどんなことがあっても、あなたを見捨てないからね」
「お母さん……!」

私のことを心配してくれる人が1人いる。
それだけで、私は18年生きていてよかったと思える。


00:000:01

ガラスの向こうで、知らない男が入ってきた。
男はマイクを取ると、隔離室に語りかける。

"母実、やっぱり君が好きだ!
バツイチ子持ちなんて気にするもんか!"

「浮男……!」

え、なにこの展開。

"どうせ子供もいなくなるんだろう?
だったら僕と娘の間でトラブルの心配もないし
僕と母実で新しい家庭をイチから作ることができるよ!"

「…………そうね」

「ちょっとお母さん!?」

母は隔離室のドアにかけよると死に物狂いでドアを叩いた。


「出してえええ!! お願い!! ここから出してぇぇ!」

隔離室のドアが開くとお母さんと男は抱き合った。
なんかもうキスとかしてるし。

なにこの人生。

どいつもこいつも……。


"時子ちゃん、早く爆発してすっきりしてね!"


すっきりしたいのは、あんただろ!!



00:000:00


リミットが来た。
体の中でなにかがはじける音がはっきり聞こえた。














「……あれ?」

爆発しない。
隔離室を見ていた人もぽかんとしている。

ただのイタズラだったのか。

事態を飲み込めないままでいると、
隔離室に怒り狂った元母親が入ってきた。

「ちょっと! ちゃんと爆発しなさいよ!」
「そうだ! 君が爆発してくれないと
 僕らの新たな門出ができないじゃな……うぐっ!」


隔離室に入った二人は倒れて動かなくなった。
外で待機していた専門家たちの慌てる声が、
スイッチ入れっぱなしのマイクから漏れ聞こえてきた。

"隔離室内で猛毒ウイルスを確認!
体内の爆弾はウイルスだったんです!
もう彼女は歩くウイルス兵器です!"

それを聞いた私は隔離室を飛び出した。


「待て! いったいどこへ行くつもりだ!!」

引き止める専門家たちに、私は笑って答えた



「友達に会いに行くんです」