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みやこたまち
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そののちのこと(無間奈落)

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プロローグ「男は何も分からず〜女の唇は乾いていた」



 男は何もわからずに眠っていた。目覚めると、傍らには女がいた。長い眠りだったような気がした。男は辺りを見回した。ひじょうに喉が渇いていた。水を求めて、男は立ち上がった。身体が上下に引っ張られ、伸びてゆくような気がした。天井にはランプシェードが三つ浮かんでいた。裸足の足は絨緞の上にあった。
 外は蒼い夜だった。窓は開いているようだったが、寒くはなかった。男は、大切な何かを忘れているような気がした。だが、その思いはまどろんでいて、砂に染み込むように意識から消えた。頭が痛んだ。もう一度女を見下ろすと、胸に痛みが走った。責めるような痛みだった。忘れていた何かが、再び現れた。男は全身の血が沸き立つのを感じた。
 目は女を凝視していた。喉がひじょうに渇いていた。衝動的に女の傍らに膝をつき、女の唇を吸った。しかし、女の唇も乾いていた……