無題
たまる水に踏み入れた左足
お気に入りだったスニーカー
気持ちだけはずっとフリーターだった俺の形ばかりの相棒
自由になりきれず
自分にかまいきれず
時間の波が押し寄せる
伊豆の海が踊ってる
真夏の太陽 真冬の月
同時に手に入れようなんて
バカげた青春の残像が浮かぶ
春と秋はいつだって忘れっぽくて
黄昏れてる間にチャイムが鳴る
木の下に埋めた愛情
掘りだして放りだして本気だしたふりしてたら振りだしに戻って
風がふいた
嘘をついた
頬をなでたら自信がわいた
下らない言葉遊びにうつつをぬかす
見えるかい希望が
涙で焦点が合わないだろう
聞こえるかい笑い声が
泣き声にかき消されてしまうだろう
憶えているかい夢を
現実に溺れてしまったんだろう
地図をなくし
知らぬ道に踏み出した右足
踵から血がでてる
瞼から涙がでてる
久しぶりに会った相棒の顔が相変わらずだからきっと
夕日に染まる顔が少しだけいつもよりロマンチックに見えたんだ