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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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単調なハリウッド世界を脱出したくて

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会社まで車を走らせていると、
いきなり別の車が幅寄せしてきた。

「ああ……またカーチェイスかぁ……」

車をぶつけあいながら銃を撃ち合いながらのカーチェイス。
ハリウッド世界では毎日のことなので慣れたけど、
毎回車が爆破されるのでお金が大変なことに。

「私はオリビア。謎の組織スペクトラムを追っているスパイよ」
「ああ、そうですか……」

今日の最後の方で裏切るな、この女。
でもそれを許して最後には仲良くなる。

ハリウッド世界では、
毎日違う女がヒロインとしてやってくるも
毎回展開は同じなのでもう慣れた。

「大変よ! 空から宇宙人が! ホワイトハウスを守って!
 特殊能力のスーパーヒーロー集団が来たわ!
 これを止めないと世界が終わってしまうわ!」

「もう嫌だあああ!!」

毎日ヒーローとして世界を救い続けるのは疲れた!!

「そうだ! ハリウッド世界を出よう!」

この世界さえ出てしまえば問題ないんだ。




ついにハリウッド世界を出ると、
スパイとか謎の組織とかヒーローとかから解放された。

「いやぁ、これで安心だ」

すると、どこからともなく音楽がかかり体が勝手に踊りだす。

「な、なんだぁ!?」

「おはよう インドはダンスに始まりダンスに終わる。
 さあ、午前5時から朝ダンスだ♪」

「えええええ!?」

インド世界やってきてしまった俺は、
1日中キレッキレのダンスを踊らされ続けた……。

「ま、間違った……別の世界に行こう……」

インド世界を出て別の世界へ。



朝っぱらからダンスを踊るわけでもなく、
宇宙人がホワイトハウスを攻撃するでもない世界。

「うん、ここなら大丈夫そうだな」

街をくまなく見ても普通そうだ。
ちょっと刺激が足りない気もするけれど、これはこれで……。


「きゃーー助けてーー!」


通りの奥から女性が走って逃げてくる。
その後ろにマッチョな男たちが追いかける。

それを見た瞬間、体が勝手にアクロバットな動きをはじめた。
椅子を蹴り上げ、路地に滑り込み、時計塔から落下し……。


「ななな、なんだこれぇ!?」

飛び降りたり、飛び乗ったりと忙しすぎる!

「ダメだ! 香港世界も俺には合わない!」

こんなの毎日毎日やってたら体が持たないよ!
いったい俺はどの世界に行けばいいんだ!

すると、男がやってきた。


「それじゃ裏日本世界に行っていたら?」

「日本? ああ、一度行ったことあるよ。
 あの世界は声が小さすぎて聞き取れないし、
 絆だの家族愛だのですごく退屈だったんだ」

「それはごく一部」

男の口車に乗せられて、
もう一度日本世界に行ってみることに。


「こ、これは……!!」

男の言う通り、俺はごく一部しか体験していなかった。

巨人が来たかと思いきや、バケモノと友達になったり
宇宙人に寄生されたり、アイドルになったり。

毎日過ごしていても、とても飽きが来ない。

「この世界、最高だ!」

日本世界の裏側を教えてくれた男にお礼が言いたくなった。
このファンタジックな世界を教えてくれたお礼を。



「ああ、見つけた!」

「君は前の……どうしたんだ?」

「日本世界を教えてくれたお礼を言いたくって!
 おかげで毎日楽しくて充実しています!」

「それはよかった」

お礼が伝えられて満足した俺は帰ろうとした。
それを男がひきとめた。

「言い忘れていたことがあったんだ」

男は鏡を取り出し、俺を体の横から映した。


「裏日本世界に行くと、2次元になってしまうんだよ」

鏡には、ペラペラになった俺が映っていた。