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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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メダカさんと金魚さん…時に卵と赤ちゃん。

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お母さんのところに一ヶ月ほど帰っていた。
お母さんの家に帰ると私のすべき仕事がある。

それは餌やりだ。
帰った次の日から始まった。
でも餌やりはいつもの事で、私がお母さんの所に帰ると餌やり当番は何の会話もなく私が次の日から始める。
お母さん曰く、
『お母さんがあげると、お母さんのあげ方が悪いのか…、あなたのようにならない。』
とのこと。
私はメダカだけじゃなく、金魚さんにも声を掛けながら餌をあげる。
お母さんは愛想なくやるから仲良くなれないんだと思う。
お母さんのところにも金魚がいるのでその餌やりも始まる。
お母さん金魚は結構名前が付いている…というか私が勝手に付けた。

不対称(ふたいしょう)さん…この金魚はお母さんの家で初めて生まれた金魚だ。二センチもないくらいの時に、片目だけ出目で、両手の大きさは左右違ったのでこの名前が付いた。小さすぎたので他の金魚とは別にしていた。二センチも超えた頃に、寂しいかと思い新しいお友達、三センチほどのランチュウを連れて来た。最初の数分は距離があったけど、不対称さんが近付いて来た。いい感じと思ったのも一瞬で、ランチュウのしっぽに噛み付き始めた。驚いたランチュウはしっぽを噛まれる度に驚いて遠くまで泳いで逃げる。それを不対称さんは違う方向から上手に近付きまた噛み付く。どうも不対称さんは性格が悪いと判明。その日の内にランチュウは別の水槽へと移された。

パクパクさん…誰よりも早く水面まで来て口をパクパクする。他の金魚が来たら大きく飛び出た目で蹴散らす。ちょっと不対称さんに似てるかも…。実はパクパクさんが不対称さんの親なのだ~。大きさは不対称さんが一番小さかったのに誰よりも大きくなっている…。親であるパクパクさんを追い越した。

白のパクパクさん…変な風に出目。目はあっち向いてホイのような角度を向いている。口をパクパクさせてはいるが、パクパクさんに気を使うばかりなので静か。

ダイブツさん…ランチュウの事を私たちはこう呼ぶ。今ダイブツさんは二匹いる。その内一匹のダイブツさんは転覆病中で、もう一匹は白点(はくてん)病中…。二匹とも病気の中食欲はすごい。因みに、転覆さんが不対称さんに追い掛けられた金魚なのです。

巨大な赤白…ただひたすらにお腹がデカイ!!そして偉そう。でも誰よりも綺麗で美しい。

小さい赤白…謙虚。巨大な赤白にふっ飛ばされていつも負ける。

黒出目さん…存在感があんまりない。

後、その他数匹の金魚たち。

この金魚さんたちとメダカさんたちの餌やりが始まった。

朝起きて朝ごはんを食べて、それから餌やりが始まる。
パクパクさんの勢いが凄いけど、多少私も躾ける意志があるのでわがままには応えない。
なので、巨大な赤白の水槽からあげる。
ここには巨大な赤白・小さい赤白・黒出目さん・白点さんがいる。
巨大な赤白が水面に来て口を開ける。
その口をめがけて餌を落とす。
餌を与えたその後を見ていると何かに気付いた。
白点さんはここに来て三年もなるのにあんまり成長していない…、何故だ…。
もう一度餌を撒いた。
餌が落ちて行ってる時に巨大な赤白がほとんどを吸い込んでいる。
こういうことかと分かった。
白点さんは水面まで来ないから、餌を取れないんだ。
しもぶくれのような顔をしていてとてもかわいい白点さん。
泳ぎは下手で一粒ずつ丁寧に食べる。
それが分かってからは、巨大な赤白に先ず餌をあげてそっちに気が向いている瞬間に、白点さんめがけて餌を撒くようにした。
その他二匹は、巨大な赤白の邪魔にならないようにおこぼれを上手に食べていた。

そして次にパクパクさんの水槽。
巨大な赤白に餌をあげている時から音が聞こえる。
水面から口を出して思いっ切り口を開けてパクパクする。
あまりにも邪魔なので、先ずは直接パクパクさんの口の中に餌を入れる。
これがリズムが合わないと口を閉じた時に、パクパクさんの頭に餌が降ることになる。
そんなことは何度もあった。
それでも納得の行く分量が口の中に入るとパクパクさんは、噛み締めながらゆっくり沈んで行く。
美味しいのだろう。
そしてやっと他の金魚たちに餌を撒いてあげる。
白のパクパクさんは静かに食べる。
その他二匹も同じようにちょっとずつを食べる。
そんな風にしないとパクパクさんはみんなを大きな目で蹴散らしながら餌を食べるから、その他三匹が餌にありつけなくなるので仕方がない。
何分金魚なのでそこまでは躾けられない…。

やっと登場するのが一人優雅に暮らしている不対称さんの水槽だ。
こいつは変わっている。
お腹は空いているはずなのに、一回目の餌を撒くと一旦逃げる。
そしてUターンして来て下に落ちた餌を探し始める。
私はその上から二回目の餌を不対称さんにかける。
うまく行くと不対称さんの頭と出目に餌が降る。
私はほくそ笑みながら楽しんでいる。
でも不対称さんは頭に餌が降ろうがそこはあんまり気にしない。
だから自分のやっていることの意味が分からなくなる。
私が一人金魚さんの部屋で笑っているだけだ。
不対称さんに伝わらないから、だんだんと逆に私の癪(しゃく)に障り出す…。
したことは返って来るとは言うけれど、こんなにもすぐに…と受け止める自分…。

そして最後に転覆さんの水槽ではなくバケツへ。
転覆さんは療養中なので、餌はなし!!
お母さんは金魚を飼ってはいるけども、知識は少ない。
なので私も知識は少ない中、お母さんよりはあったりする。
転覆さんは即、塩浴(えんよく)となった。
塩浴とは字の如くで、水に塩を入れること。
そうすると浸透圧の原理で金魚は楽になるらしい…。
転覆して数ヶ月経ってしまっているから治る見込みはないとは思いつつも念のためした。
塩浴一週間後から餌をあげようと思った。
浮袋と腸の具合を知りたかった。
塩浴が始まって二日後、透明な二~三センチほどの何かが見えた。
手に取り調べた。
…お糞だった~っ!!
やった~っ!!と心から感動。
ということは、腸は元気だと分かった。
そして一週間後となり餌をあげようと思った。
でも転覆しているので、水面に浮かんでひっくり返っている。
頑張っても数センチほどしか潜れないので、いろいろ考えて、割り箸を鉛筆削りで削って細くして一粒ずつ摘んで口元へ持って行った。
転覆さんの慌てようはすごかった。
久しぶりの餌に金魚らしからぬ驚きをした。
普通に人間が驚いた時のような驚き方だった。
金魚さんにも心はあるのかもしれない…と感じた。
割り箸に餌を挟んでいるけど、どのくらいの力で持ったら良いのか分からず転覆さんは食べたい一心なのにバケツの底に落としてしまった。
バケツに手を入れて餌を拾い割り箸で挟んで、転覆さんの口元へ…。
転覆さんは目を見開いたかの如く、口で餌を吸い取ろうとする。
でも私が摘み過ぎてるからか、一回目で口に入らず何回も吸い込もうとする。
力を緩めたらまた餌が落ちるのでその口の動きに合わせて力を緩めた。
するとその一粒が転覆さんの口の中へ吸い込まれた!!
これは感動だった~。
一生懸命口をモグモグさせている姿は生きているということを教えてくれた。