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人類至上主義

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生物学者ジョン・ガードンは、アフリカツメガエル核移植実験をもって、体細胞も受精卵と同じ全遺伝子を持つことを突き止めた。この実験の中で、ガードンはまずカエルの未受精卵を採取し、その核を破壊した後、小腸の細胞から取り出した核を移植した。この未受精卵から正常な個体が生まれたことで、先に述べた発見をなした。
ここで、同じ実験を人体で行った場合、いかにそれが生物学の発展に繋がろうとも、これは「倫理上の問題」から非難されることは想像に難くない。それは何故か? 答えは至極単純であり、この場合の実験台が人間であるからだ。
ここに人間の、「人類は特別である」という思想、人類至上主義がある。人類は特別であるから人類を実験台には出来ないが、特別な人類のため他の生物で実験をすることは許されるのだ。
「人類皆平等」という言葉があるが、ここにも人類至上主義がうかがえる。ここで平等が保証されるのは人類に限られており、他の生物に平等は存在しないのである。
人間はその長い歴史から、差別を「悪」とし、「平等」をかかげ、これがあたかも優れた思想であるかのように尊重してきた。確かにそうした面がないのではない。しかしこの下に、人類は「他の生物」を下等なものとして置いてしまった。
英国からの独立を果たしたアメリカで、その後もなお黒人奴隷や先住民への差別が残ったのは何故か。それはアメリカ国民の自由や平等を掲げたその一方で、黒人や先住民を「その下」に置いたからではないだろうか。
これと同じように、人類は我々の平等は約束したが、他の生物を平等に扱うことをしない。それは人類が、根本から「何か」の上に立たなければ、「何か」を踏みつけなければ、生きることのできない悲しい生物であるということではないだろうか。
作品名:人類至上主義 作家名:忠仁