casket
『casket』
【著】①松田②ぼぶ
○登場人物
・ベッドの男(根室)
・召使い(ショウ)
・電話の人
●寝室。ベッドに男が座っている。足が悪い。何か通話をしている。周りにはパソコン、車椅子。モニターがたくさんある。召使い入り。
根室 ……わかった。
ショウ 珈琲です。
根室 ありがとう。
ショウ 依頼ですか。
根室 春巻警部からね。
ショウ まったく、あの方は。根室さんも断ってください。休憩が少なすぎます。
根室 君のほうが働いているように思うが? 召使としての仕事と、こっちの仕事。
ショウ 私はしっかり休んでおります。
根室 そうか、ならばまた行ってきてもらおうかな。
ショウ 承知しました。
根室 今回の事件は犯人が複数いるらしい。それと、公衆電話に注意してくれ。
ショウ 公衆電話ですか?
根室 犯人グループは公衆電話で連絡のやりとりをしている。何か企んでいるようだ。
ショウ わかりました。
根室 頼んだぞ。私はいつものようにバックアップする。
ショウ 心強いです。
根室 そちらでハッキングの要望があれば連絡してくれ。すまないね、私の足が悪いせいで現場は君に任せるしかない。
●根室ハケ。ショウは公演のベンチに座っている。通話中。
ショウ はい。指定された公衆電話を張っております。人通りが多いため見分ける時間がかかります。
根室 映像で見ているよ。少し信号の間隔を操作する。
●電話の人入り。公衆電話ボックスに電話の人が入った瞬間、公衆電話が一瞬鳴る。電話を取る電話の人。
ショウ 根室さん、怪しい人が……。
根室 電話の声を取ってみる。
ショウ おそらく、一瞬ですが音がなりました。
根室 当たりだ! 捕まえるんだ!
●ショウは電話の人を捕まえにボックスへ行く。それに気がついた電話の人は受話器を戻さずに電話ボックスを走り出る。受話器は下で揺れている。電話の人ハケ。追うショウ。
ショウ くそっ!
●ショウハケ。根室入り。寝室のモニターと通話している。
根室 なんだ、こいつ……。
ショウ 根室さん、逃げられました! 今追っています!
根室 あぁ、わかった。……まだ何かを話しているな……。
ショウ どうかしましたか。
根室 まだ通話が切れていなくてね。相手が何か話しているんだ。
ショウ はぁっはぁっ、捕まえた!
●根室ハケ。ショウ、電話の人入り。電話の人はショウに捕まっている。
人 くそっ。
ショウ さぁ色々聞かせてもらおうか。
人 はは、ははは!
ショウ 何がおかしい。
人 馬鹿な奴らだ、まんまと引っかかりやがった!
ショウ なんだと。
人 警察があのハッカーを雇ってることは知ってんだ。
ショウ まさか……。
人 そいつの居場所がどうしても掴めなくてな。
ショウ 根室さん、すぐにハッキングをやめてください!
人 逆にこっちから逆探知してやってんだよぉ!
ショウ まずい、根室さん!
人 もう居場所はわかった頃だろうなぁっ。
●ショウ、電話の人ハケ。根室入り。根室、通話相手の話を解析、ショウとの通話が途絶え焦る。
根室 こ、こいつ…私の居場所を探っているのか!?
●根室、ショウに戻るよう伝えようとする
根室 ショウ!こいつは罠だ!戻ってこい!……おい、ショウ?ショウ!?
●春巻警部入り。根室、後ろから頭に銃を突きつけられる。根室から春巻は見えていない。
春巻 そんなに慌てるなよ、ハッカー君。悪いが通話は切らせてもらった。
根室 クソ!遅かったか!
春巻 こうして会うのは初めてだな……。いつもは電話越しでしか話さないからな
根室 ……何を言っている?君は誰なんだ?
春巻 自分のクライアントの声を忘れるとは。
根室 え?
春巻 私だよ、ハッカー君?
根室 春巻…警部?
春巻 ははは、やっとわかったか!案外鈍いんだなー。
根室 ……あなたっだったんですね?私を探していたのは。
春巻 そうだ。まぁ、厳密に言えばあんたが隠し持っているものだがね。
根室 私が隠し持っているもの?何の話だ?
春巻 …今の時代にハッカー、という職が成り立つ理由。ネットワークの急成長。
根室 ???
春巻 我々はネットワークで管理されている。そう、全てね。その情報は生まれてから死ぬまで、そして半永久的に保管される。誰もが知ることができるものから、世界で数人しか知らないことまで。こんな時代だからこそ成り立つのだ。
根室 あなたの言いたいことが理解できな
春巻 そんな消えることのない情報を消すことができる…まるで誰にも知られずに、死人を葬るかのようなデリートプログラム。
根室 !?
春巻 通称、casket(棺桶)
●根室、春巻ハケ。ショウ、電話の人入り。
ショウ 根室さん!根室さん!?
人 残念だったなあぁぁぁぁぁ?今頃死んでるかもしれないぜぇぇぇ?
ショウ 殺す…………!!
人 おいおいおいおい、そう焦るなってぇ。俺を始末しちまうと、お前も始末されるぜ?
ショウ どのみち消されるのは変わらないでしょう。
人 俺たちはお前のご主人が持っているものが目的なんだぜぇ?無駄な抵抗をしなければ死ぬこたぁないかもしれないぜぇ。
ショウ 根室さんが持っているもの?
人 そうさぁ。…なんていったかなぁ……カ、カス……カスケ……とにかく重要なプログラムさ。
ショウ …根室さんが持っている、プログラム。そんなもの聞いたこともない!
人 そりゃそうさ!一介の召使いに教えられるものじゃないからなぁ
ショウ なに?
人 国、いや…世界をもひっくり返せるほどの代物さ
ショウ ……なるほど。情報提供たすかるよ。君みたいな馬鹿はベラベラ喋ってくれるから。
人 なんだっ…と?
●ショウ、電話の人を気絶させる。電話で警察に連絡。
ショウ はい、犯人グループの一人を。はい、お願いします。ところで春巻警部は?…今出ている?わかりました。ありがとうございます。………まさか、な。
●ショウ、急いで根室のもとへ、ハケ。根室、春巻入り
根室 貴様!なぜそれを!?
春巻 おっと!口調が変わったな?やはり存在しているのか!
根室 くっ…
春巻 まあ、この名を知っているものはもう多くない。その反応は仕方ないさ。
根室 棺桶をどうするつもりだ。(USBメモリを出す)
春巻 ほほう、そんなお粗末なものに入っているのか
根室 そんなお粗末なものがこの世界をひっくり返すものなんだよ。お前はそれをわかっているのか?
春巻 そうだな…その答えを教えてやりたいが、そろそろ時間だ。
●根室からUSBを奪いハケ、ショウ入り
ショウ 根室さん!!
根室 遅かったじゃないか、ショウ
ショウ すみません。…何もされなかったんですか?
根室 ああ、何故か生かされたらしい。
【著】①松田②ぼぶ
○登場人物
・ベッドの男(根室)
・召使い(ショウ)
・電話の人
●寝室。ベッドに男が座っている。足が悪い。何か通話をしている。周りにはパソコン、車椅子。モニターがたくさんある。召使い入り。
根室 ……わかった。
ショウ 珈琲です。
根室 ありがとう。
ショウ 依頼ですか。
根室 春巻警部からね。
ショウ まったく、あの方は。根室さんも断ってください。休憩が少なすぎます。
根室 君のほうが働いているように思うが? 召使としての仕事と、こっちの仕事。
ショウ 私はしっかり休んでおります。
根室 そうか、ならばまた行ってきてもらおうかな。
ショウ 承知しました。
根室 今回の事件は犯人が複数いるらしい。それと、公衆電話に注意してくれ。
ショウ 公衆電話ですか?
根室 犯人グループは公衆電話で連絡のやりとりをしている。何か企んでいるようだ。
ショウ わかりました。
根室 頼んだぞ。私はいつものようにバックアップする。
ショウ 心強いです。
根室 そちらでハッキングの要望があれば連絡してくれ。すまないね、私の足が悪いせいで現場は君に任せるしかない。
●根室ハケ。ショウは公演のベンチに座っている。通話中。
ショウ はい。指定された公衆電話を張っております。人通りが多いため見分ける時間がかかります。
根室 映像で見ているよ。少し信号の間隔を操作する。
●電話の人入り。公衆電話ボックスに電話の人が入った瞬間、公衆電話が一瞬鳴る。電話を取る電話の人。
ショウ 根室さん、怪しい人が……。
根室 電話の声を取ってみる。
ショウ おそらく、一瞬ですが音がなりました。
根室 当たりだ! 捕まえるんだ!
●ショウは電話の人を捕まえにボックスへ行く。それに気がついた電話の人は受話器を戻さずに電話ボックスを走り出る。受話器は下で揺れている。電話の人ハケ。追うショウ。
ショウ くそっ!
●ショウハケ。根室入り。寝室のモニターと通話している。
根室 なんだ、こいつ……。
ショウ 根室さん、逃げられました! 今追っています!
根室 あぁ、わかった。……まだ何かを話しているな……。
ショウ どうかしましたか。
根室 まだ通話が切れていなくてね。相手が何か話しているんだ。
ショウ はぁっはぁっ、捕まえた!
●根室ハケ。ショウ、電話の人入り。電話の人はショウに捕まっている。
人 くそっ。
ショウ さぁ色々聞かせてもらおうか。
人 はは、ははは!
ショウ 何がおかしい。
人 馬鹿な奴らだ、まんまと引っかかりやがった!
ショウ なんだと。
人 警察があのハッカーを雇ってることは知ってんだ。
ショウ まさか……。
人 そいつの居場所がどうしても掴めなくてな。
ショウ 根室さん、すぐにハッキングをやめてください!
人 逆にこっちから逆探知してやってんだよぉ!
ショウ まずい、根室さん!
人 もう居場所はわかった頃だろうなぁっ。
●ショウ、電話の人ハケ。根室入り。根室、通話相手の話を解析、ショウとの通話が途絶え焦る。
根室 こ、こいつ…私の居場所を探っているのか!?
●根室、ショウに戻るよう伝えようとする
根室 ショウ!こいつは罠だ!戻ってこい!……おい、ショウ?ショウ!?
●春巻警部入り。根室、後ろから頭に銃を突きつけられる。根室から春巻は見えていない。
春巻 そんなに慌てるなよ、ハッカー君。悪いが通話は切らせてもらった。
根室 クソ!遅かったか!
春巻 こうして会うのは初めてだな……。いつもは電話越しでしか話さないからな
根室 ……何を言っている?君は誰なんだ?
春巻 自分のクライアントの声を忘れるとは。
根室 え?
春巻 私だよ、ハッカー君?
根室 春巻…警部?
春巻 ははは、やっとわかったか!案外鈍いんだなー。
根室 ……あなたっだったんですね?私を探していたのは。
春巻 そうだ。まぁ、厳密に言えばあんたが隠し持っているものだがね。
根室 私が隠し持っているもの?何の話だ?
春巻 …今の時代にハッカー、という職が成り立つ理由。ネットワークの急成長。
根室 ???
春巻 我々はネットワークで管理されている。そう、全てね。その情報は生まれてから死ぬまで、そして半永久的に保管される。誰もが知ることができるものから、世界で数人しか知らないことまで。こんな時代だからこそ成り立つのだ。
根室 あなたの言いたいことが理解できな
春巻 そんな消えることのない情報を消すことができる…まるで誰にも知られずに、死人を葬るかのようなデリートプログラム。
根室 !?
春巻 通称、casket(棺桶)
●根室、春巻ハケ。ショウ、電話の人入り。
ショウ 根室さん!根室さん!?
人 残念だったなあぁぁぁぁぁ?今頃死んでるかもしれないぜぇぇぇ?
ショウ 殺す…………!!
人 おいおいおいおい、そう焦るなってぇ。俺を始末しちまうと、お前も始末されるぜ?
ショウ どのみち消されるのは変わらないでしょう。
人 俺たちはお前のご主人が持っているものが目的なんだぜぇ?無駄な抵抗をしなければ死ぬこたぁないかもしれないぜぇ。
ショウ 根室さんが持っているもの?
人 そうさぁ。…なんていったかなぁ……カ、カス……カスケ……とにかく重要なプログラムさ。
ショウ …根室さんが持っている、プログラム。そんなもの聞いたこともない!
人 そりゃそうさ!一介の召使いに教えられるものじゃないからなぁ
ショウ なに?
人 国、いや…世界をもひっくり返せるほどの代物さ
ショウ ……なるほど。情報提供たすかるよ。君みたいな馬鹿はベラベラ喋ってくれるから。
人 なんだっ…と?
●ショウ、電話の人を気絶させる。電話で警察に連絡。
ショウ はい、犯人グループの一人を。はい、お願いします。ところで春巻警部は?…今出ている?わかりました。ありがとうございます。………まさか、な。
●ショウ、急いで根室のもとへ、ハケ。根室、春巻入り
根室 貴様!なぜそれを!?
春巻 おっと!口調が変わったな?やはり存在しているのか!
根室 くっ…
春巻 まあ、この名を知っているものはもう多くない。その反応は仕方ないさ。
根室 棺桶をどうするつもりだ。(USBメモリを出す)
春巻 ほほう、そんなお粗末なものに入っているのか
根室 そんなお粗末なものがこの世界をひっくり返すものなんだよ。お前はそれをわかっているのか?
春巻 そうだな…その答えを教えてやりたいが、そろそろ時間だ。
●根室からUSBを奪いハケ、ショウ入り
ショウ 根室さん!!
根室 遅かったじゃないか、ショウ
ショウ すみません。…何もされなかったんですか?
根室 ああ、何故か生かされたらしい。