別れのうた
近くの誰かの出立のファンファーレ
会えない未来に
遠ざかる希望を重ねて
英雄のような面構え
身なりを整えたお前
恐れることはなにもない
自信と期待つめ込んで
言い訳という言い訳を吐きつくし
行き先を失くした俺は
自分自身に問いをかける
街角の花屋
カーネーションを買った
二級河川の鯉に捧げる徒花
視線を落とし石コロを放る
山猫の鳴き声を真似て
陳腐な愛の言葉を独りごちる
人なしのブランコが
きいきいと揺れる
ジャングルジムに小鳥が2匹
夕焼けのにおいが心をもやす
終電間近のくだりの電車
赤いルージュの可憐な彼女
緑の並木道を歩いてる
桃色に染まる春を偲びながら
二十四色の絵具
筆にこだわらないお前はいつも
安物か指でキャンバスをなでた
イヤフォンから流れる音楽が
渋谷の雑踏にぴったりで
iPhoneを握る右手が
六本木の女の子にそっくりで
それで
だから
イヤになったぜんぶを
いっさいを投げ込んだ川辺で
色のない絵を描いた
明日をなくす酒をのんだ
グッバイラバー
晴れるさきっと
グッナイサマー
終わるさきっと