偽電車男 第二部(完結編)「長いトンネルを抜けて」
8.今度は人間かよ!
客先での仕事をふんばっていたら、GWに突入した。
GWは丸々休み。
なので、かなり遠いが実家に車で帰省した。
昼飯は、今の自分の経済状態を見て自分で弁当を作ってもっていくことに。
ホールトマトを使ったキーマカレー弁当を作った。
キーマカレーは大好物なので、自分でも結構作る。
さらに今回は、煮物を自作してタッパーに詰め、安売りしてた「にら」でもう一品炒め物を作成した。
飲みものも、スーパーで購入した2リットルのウーロン茶だ。
軽快に車を走らせ、道中R34から煽られたり、ランエボが煽ってきたりしたが高速道路といえど、全開フルスピードなど出すわけもない。
こっちが通常スピードで運転してたら、横に並ばれてお互いの車を
確認するというおかしな空気になったりしてた。
珍しい外国のスポーツ車も見たが、マシンパワーがここまで違うのかって思い知らされた。
片道の半分くらいいったら、弁当を取り出して全部食した。
うん、うまい。
そしてコーヒーとチョコレートをとりながら精神集中。
SAの休憩時間がもったいないので、軽く伸びやストレッチをしたらすぐ発進。
長時間のドライブも、音楽かけて時折歌いながらいけば楽しいもんさ。
エモ、エモ、ロック、エモ、時折オシャレ系ミュージックをかけながらひたすらハンドルとアクセルを操作し続ける。
長い渋滞にはまっても、なんとか切り抜けれたさ。
実家に帰省して、今はうまくやれてることを両親に報告した。
陰口は叩かれているが、そんなの耐性ができりゃどってことないもんだな。
実家では映画見に行ったりのんびり過ごした。
そして三日目には大事をとってすぐに今の社宅まで戻る。
なんか長時間アクセルを踏みっぱなしだったり、クラッチを踏み続けて足つりかけたが、慣れたら結構いけるものだ。
そしてあるサービスエリアでトイレ休憩してたときのこと。
40代から50代っぽい、妙なおっさんが俺の車に近づいてきた。
俺の車が、例の雪国のナンバーのままだったため、そこの近くまで乗せていってほしいとのこと。
運転していた会社のトラックを休憩中に盗まれたとかいうが、ちょっと怪しい。
まぁ、ええや。
飯を食ったか聞いたところ、財布も盗まれたとのこと。
うーむ、高速に乗るには何かしら車に乗っている必要があるから信じられなくもないが。
まぁ、助手席に乗せて、食事と飲み物を与え、発進した。
もちろんおかしな動きを見せて、車を奪おうとするなら俺のスタンド攻撃によって、「無駄無駄」ラッシュで放り出すのみ。
ロードローラーじゃなくて、GC8でトドメだ!
携帯を貸して、会社に連絡させた。
目的地まで、ちょっとした会話しながら異様な雰囲気。
そもそも本当にトラック盗まれたのか?
強盗だったら首や腕をへし折って取り押さえてやる!
だが一向に変な動きを見せない。
サービスエリアで車止めたら、気を使って相手も降りた。
うーん・・・ 微妙だが・・・・
とりあえず、そんなかんじが続き、あるSAでおっさんが
「あ、もうここでいいです。」
と言った。
なので、本当は俺も金欠で嫌だったが、おっさんの食事代や電話代などを多めに渡して別れを告げた。
猫に続いて、おっさんかよ。
変なこともあるもんだぜ。
暗黒面に堕ちたはずの俺のハートは、猫の一件以来少しずつ戻っているのかもしれないなとそう思った。
作品名:偽電車男 第二部(完結編)「長いトンネルを抜けて」 作家名:ぎーくおぶじえんど