偽電車男 第一部「栄光と地獄」②
20.恋愛戦線、進展なし
それからミズキさんとメル友となった。
そして女の子を紹介してもらう話に。
マリちゃんは、俺とミズキさんとのデートの話を聞いたのか、
大部屋のいつものところで「ミズキさんがうらやましい・・・。」と漏らしていた。
仲良し客先社員さんは、「俺君にお願いしてみたら?一回くらいデートしてくれるでしょ?」と言ったが、
「嫌、恥ずかしい・・・」とのこと。
いや、つか誘っても断ったじゃんよ。
と思ったが、ほっといた。
そして、その二日後、夜中にちょっくらふらっとドライブへ。
そしたら、そのときのこと、マリちゃんが見てたらしく、俺が夜中に出かけていってたことを漏らしてた。
そんで「ミズキさんともう付き合ってるんじゃ・・」と心配してたみたいだけど、勿論そんなことはなかった。
うん、即座に「俺、まだ彼女いねぇっすよ。」とワタセさんに話してたら、マリちゃんが聞いたらしくて、嬉しそうにしてた。
俺は一体、何をやっているのだろう。
彼女のことはほっといて、新しい相手を見つけにいこうというのに。
ミズキさんとはメル友だが、お互いに付き合うとか言ってない。
俺の心の片隅には、やっぱりマリちゃんがいたしね。
マリちゃんとは日常会話はしても、土日に会ったりすることはまずない。
マリちゃんとシンイチさんは内輪の飲み会で会っても仲良さげ。
俺、お呼びじゃない。
だから、俺も身体を鍛え続け、自分を磨き、新しい出会いを求めてがんばった。
オシャレに気を使い、髪型を毎回流行の髪型に変えてみたり、運動しすぎて汗かきになり、香水もかなりそろえて使いまくったりしてた。
週一で解放日を設けて、ステーキハウスで飯食うことにしており、ステーキハウスの女性店員さんから、メアドもらえるレベルになってたけど、そのステーキハウスは客先社員さんも、うちの社員も御用達なので、変な噂広まってもなぁ・・・と思い、メールはしなかった。
また、服屋の店員さんからも「彼、かっこいいな」と言われるくらいのレベル。
ヤマさん、ノブヒコさん、ワタセさんと同じ仕事チームの飲み会があり、いきつけのスナックで飲んだときも、女の子から「かっこいい」とのお言葉。
そんなレベルだが、俺の思う本命の相手には想いは届かず、そうでもない女の子からアプローチっぽい動きをされたりされなかったり。
それが続いていた。
そしてGW前のこと。
ちょっと東京に観光がてら、買い物にいくことにした。
ついでに、社員寮での研修期間中に訪れた江ノ島にいって、猫の写真をとろうってね。
ミズキさんとデートしたときに、どうも6月が誕生日らしいと聞いていた。
なので、メールでやりとり。
「GWに東京旅行行くけど、何か土産欲しいものある?」
「じゃあ、グ○チのバッグ(笑)冗談だよ。何でもいいよ。気を使わないで。」
「うーん、誕生日近いっていってたし、何か考えとくね。好きな色とかある?」
「うーん、青かなぁ。でもほんと気を使わないでね。」
何かミズキさん用に考えておくことにした。
マリちゃんにも東京旅行行くって教えた。
土産のリクエストを聞いてみたら、アキバの「おでん缶」だって。
「本当にそんなんでいいんですか?」
「うん」
うーん・・・と思いながら、とりあえずそれを買いにいくことにした。
彼氏いるのに、すごいのもらっても彼氏がひくわなぁ。
そして、計画をたてているうちにGWが来た。
作品名:偽電車男 第一部「栄光と地獄」② 作家名:ぎーくおぶじえんど