偽電車男 第一部「栄光と地獄」②
22.ミズキさんへの誕生日プレゼント贈呈の儀
東京から帰った俺は、まず客先でマリちゃんにおでん缶を渡した。
「ありがとう」と笑顔を見せてくれた。
「あ、でも、本当にもうちょい高いものでも良かったんですよ?」
「いいの」
「そっすか・・・」
なんか笑顔見たら気分良くなった。
その他の東京土産も同じチームのメンバーに配って食べてもらった。
「ごまたまご」をね。
そしてその日、ミズキさんにメールした。
「土産買ってきたぜ。姫姉さまw」
「え?本当に?ありがとう」
「今日渡しにいってもいい?」
「わかった」
この日は、ミズキさんに土産を面白おかしく渡そうと思っていた。
何故なら彼女の誕生日プレゼントでもあるからね。
そのために土産にはある仕掛けをほどこしていた。
その日の夜。
車でミズキさんの住んでいるマンションへ。
ここはマリちゃんも住んでいるので、鉢合わせると気まずいが・・・
えーい、誕生日プレゼントさ。
YOU、渡しちゃえYO!と心の中のもう一人が後押ししたので、メールで呼び出した。
うん、つかマンションの部屋の前でじゃなかったのね・・・・
ミズキさん、入り口まで降りてきた。
このとき、俺はアメリカ警察にホールドアップされたときのように、後ろに両手を回して、何を渡すかは隠しておいた。
ミズキさん登場。
「何か、気をつかってもらって悪いね。」
「あ、そうそう、青・・・好きな色だったよね?リクエストに答えたぜw」
「ありがとね」
「ほらよ」
まずは左手にもっていたものを前に持って、ミズキさんに渡した。
「はい、青のグッチだよ・・・・」
「えっ!?」
そう、それは紛れも無く、あの高級ブランド「グ○チ」の袋。
彼女が一瞬緊張したように見えた。
だが、しかし・・・・
その中には、○○書店という池袋の書店名の袋が・・・・
ミズキさん「(あれっ!?)」って顔に・・・
「開けてみそ」
ミズキさん、袋から取り出して、土産を確認。
「はい、誕生日プレゼントの青のグッ○だよw」
ミズキさん、大爆笑w
そう、それはグッチはグッチだが・・・ グッチ裕三の青い料理本・・・
「面白いよねw」
「これで料理の腕をあげてくれ」
そこで少しお互いのニヤニヤ空間が発生した。
だが、まだ俺のターンだ・・・
追い討ちをかけて、敵を倒すために、俺はもう一枚のカードを切って完全KOだ。
「俺のターン!ドロー!小さい箱!フフフ、ひっかかったな。実はもう一手あるのさ」
「な、なんだってー!?」(←冗談です)
ミズキさん、「えっ!?」って顔に。
後ろ手で右手に持っていた、それは小さな箱。
彼女に渡す。
「開けてみそみそ」
ミズキさん、小箱を恐る恐る慎重にオープン。
そのとき、俺のカードが場で火を噴いた。
「おら、本物のグ○チのバッグだ、この野郎!」
彼女、驚いて目を見開いた。
そう、それは・・・ 紛れも無く正真正銘のグ○チのバッグ・・・
では、無く・・・グッチのバッグ・・・の形をしたストラップだ・・・
だが、正真正銘、グッチの正規店で購入した、一品だぜ!
レアな一品で、俺で売り切れたから、もう入手困難だけどね。
「ごめんな、バッグは無理だった。これで我慢してくれ。誕生日プレゼントだよ。
誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
うん、それで俺も満足した。
「じゃあ、またな」
「うん」
そういって、俺は黒い愛馬・・・ でなくてシビ○クに乗って、颯爽とその場を去ったのだった。
「ハイヨー、シビック!」(BGM:暴れん坊将軍OP)
それが、ミズキさんの誕生日プレゼント贈呈の儀。
作品名:偽電車男 第一部「栄光と地獄」② 作家名:ぎーくおぶじえんど